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2017年の国内サーバーOS市場は前年比4.3%増、業務システムのクラウドへの移行がLinuxの成長を促進~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は21日、国内サーバーオペレーティングシステム(OS)市場の2017年の実績と2018年~2022年の予測を発表した。稼働環境としては、Windows、Linux、UNIX、メインフレーム、その他が含まれる。なお、Linuxの売上額は商用ディストリビューションの売上が該当し、無償で入手して使用できるLinuxは含まれていない。

 2017年の国内サーバーOS市場は、前年比4.3%増の782億7100万円となった。稼働環境別の構成比ではWindowsが52.0%を占めており、Windowsの前年比成長率は3.9%。Windowsは、大手企業のプライベートクラウドやクラウドサービスプロバイダーなどの大規模データセンター向けの販売が堅調だとしている。

国内サーバーオペレーティングシステム市場予測:2017年~2022年(出展:IDC Japan)

 Linuxは、構成比が24.8%、前年比成長率が13.5%と高成長を達成。2016年も11.5%の前年比成長率で、二桁パーセントの成長を維持している。IDC Japanでは、Linuxは企業のウェブシステムから基幹業務向けシステムまで幅広い領域で採用されており、底堅い需要があると説明。さらに、クラウドサービスのIaaSにおいて構築されるシステムの多くがLinuxを採用しており、IaaSからのLinuxディストリビューション売上が増加していることが高い成長の要因になっていると分析している。

 2017年のベンダー別売上額シェアでは、Windowsを提供しているマイクロソフトが52.0%、Linuxディストリビューションを提供しているレッドハットが20.6%となり、レッドハットはLinux市場だけで見ると83.1%のシェアを有している。

 国内サーバーOS市場の2017年~2022年の年間平均成長率は2.5%、Windowsの年間平均成長率は2.0%と予測。2020年1月にマイクロソフトからのWindows Server 2008のサポート終了が控えているため、2018年から2019年にかけては更新需要が発生するが、2020年以降はほぼ横ばいで推移すると予測している。

 IDC JapanがWindows Server 2008を使用している企業に実施した調査では、現時点で66.0%がWindows Server 2016/2012への移行を計画していると回答。Windows Server 2003ではサポート終了間際で移行の駆け込み案件が多く発生したが、Windows Server 2008では余裕を持って計画的に移行する企業が多いと予想できるとしている。

国内企業のWindows Server 2008サポート終了に向けた計画の状況

 Linuxの2017年~2022年の年間平均成長率は8.9%、稼働環境別の構成比では2017年の24.8%から2022年には33.5%にまで拡大し、企業の基幹業務系システムでの採用を中心にオンプレミス環境での安定した成長が継続すると予測している。

 IDC Japanソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、「オンプレミス環境からクラウドサービス上へシステムを移行するLift&Shiftプロジェクトを始め、今後IaaS上で業務システムを構築する企業がさらに増加する。それに伴い、IaaSでのLinuxインスタンス(特にサポートが付いた商用ディストリビューション)の稼働の増加がさらなるLinux市場の成長を後押ししていくであろう」と述べている。一方、UNIXとメインフレームはハードウェア出荷が減少傾向にあるため、サーバーOSの売上も減少傾向が続くと予測している。