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KDDI、日立、NEC、NICTの4者、総務省の研究開発課題「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」を共同で受託

 KDDI株式会社、株式会社日立製作所(以下、日立)、日本電気株式会社(以下、NEC) は24日、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)と共同で、平成30年度総務省情報通信技術の研究開発に関わる提案の公募における「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」について提案を行い、採択されたと発表した。

 4者では今後、研究開発の課題I「AIによるネットワーク運用技術」、課題II「AIによるネットワークサービス自動最適運用制御技術」について取り組んでいく。

 研究開発は、安定した通信インフラの提供に向け、サービス要件定義から回線設計、ネットワーク設定、障害監視、復旧作業など通信サービスのライフサイクルの自動化を実現することを目的としている。

 次世代通信システムである5G時代においては、IoTやコネクティッドカーなど多様化するサービス要件に柔軟に対応が可能な、NFV(Network Function Virtualization)に代表される、ネットワーク仮想化が不可欠になると説明。一方、通信設備を対象とした仮想化技術は途上段階にあり、障害対応が複雑化する懸念があるとしている。

 そのため、研究開発では、今後さらに複雑化するネットワークの設計・制御・運用に対して、機械学習やAIを用いることにより、多種多様なサービス要件を満たし、かつ安定した通信インフラ提供を可能とするネットワーク構築・運用技術を確立することを目指す。

 AIによるネットワーク運用技術の課題については、通信品質を維持する短期的な運用業務(監視・障害復旧業務など)の自動化を目的として、AIを用いた故障の未然検知、検出された故障の復旧対処を自動選択・実行させる「ネットワーク品質分析、業務抽出・実行技術」や、故障時のサービス影響の最小限に抑制するため、障害の状況に応じてAIによりネットワーク資源の優先度を最適に決定する「自動資源制御アルゴリズム」の研究開発を行う。

 AIによるネットワークサービス自動最適運用制御技術の課題については、通信品質を維持する長期的な運用業務(サービス・ネットワーク設計、開通の日勤業務など)の自動化を目的として、AIを活用したサービス要件仕様から動的にネットワーク要件仕様を規定する「AIネットワークリソース最適化技術」や、ネットワーク要件仕様に基づきネットワーク機能とリソース配分などの要件を満たすネットワーク最適設計を導出する「設計制御・更新の自動化技術」の研究開発を行う。

 4者は共同で、AI活用を考慮した運用自動化を支援するリファレンスモデルの確立に取り組む。また、KDDIはAIを活用した障害の要因解析・予兆検出および復旧対処により通信品質の維持・向上を実現するための技術の確立、日立はAIを活用したサービス要件分析により、人手を介さずにネットワーク要件に変換し、継続してネットワークリソースを最適化する技術の確立に取り組む。

 NECはAIを活用した設計制御・更新の自動化により各種ネットワーク要件の擦り合わせを行って具体的なネットワークの構成を自動設計・更新する技術の確立、NICTは、AIを活用した自動資源調停および機能移行制御により、サービス品質劣化の要因となる事象を抑制するための技術の確立にそれぞれ取り組む。