ニュース

日本IBMのGTS事業、マルチクラウド環境の統合管理など3つの重点フォーカスで推進

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は5日、グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業における2018年度の事業方針に関して説明。「ハイブリッドクラウドとコグニティブを推進」「ハードウェアとソフトウェアのマルチベンダー保守サービス」「オートメーションとグローバルを活用した高品質のサービスデリバリー」の3点を、重点フォーカスに設定した。

 日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は、「GTS事業は、クラウドとコグニティブ時代における最高のインフラ・サービスパートナーになることを目指す。特に、クラウドサービスを中核のひとつに位置付けることになる。IBMは、日本で最初にアウトソーシングを提供した会社であり、保守サービスでは80年という最も古い歴史を持つ会社だ。さらにGTS事業は、会社として切り出しても、世界最大のテクノロジーサービス企業といえる。そうした実績をもとに、テクノロジーとグローバル、そして、トータルソリューションを高品質に提供できるのがIBMのGTS事業の強み」とした。

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏
GTSのビジョンと3つの重点フォーカス

 また重点フォーカスのうち、「ハイブリッドクラウドとコグニティブを推進」では、マルチクラウドのインテグレーションサービスを強化、拡充することを示した。

 「IBMは、クラウド領域のITに対して、システム構築・運用管理サービスを、マルチクラウド環境においても24時間365日の体制で責任を持って提供するため、クラウドサービス組織にリソースを投入して、体制を強化した。顧客が求めているのは、複数のクラウドを活用したいということ。IBMのクラウドサービスとは、IBM Cloudを提供することではなく、サービスインテグレーションとして提供することである。特に、クラウドサービスデリバリーがIBMにとって最大の強みになると考えている。ユーザーは、マルチクラウド環境に対応することが不可避であり、そこにおいて、エンドトゥエンドのトータルソリューションを提供することが大切」と述べた。

マルチクラウドインテグレーションにフォーカスする
クラウドでのエンドトゥエンドのサービスを提供

 IDC Japanでは2021年までに、国内企業の90%以上が複数のクラウドを利用するようになり、そのうち3分の1以上の組織が、マルチクラウド環境におけるリソースの運用管理の仕組みを構築すると予測している。

 日本IBMでは、マルチクラウド環境のIT管理は従来とは異なる管理が必要であり、IT部門の制御下で自由な選択を許容することが大切だとしており、マハジャン氏は、「マルチクラウド環境のあるべき管理を実現するのはIT as a Serviceである。パブリッククラウドのサイロ型の管理ではなく、モジュラー型のマネージドサービスが求められている」などと述べた。

マルチクラウドでは従来と異なるIT管理が必要
マルチクラウドを積極的に管理する時代へ

 2つ目の「ハードウェアとソフトウェアのマルチベンダー保守サービス」では、「IBMは、マルチベンダー保守で25年以上の歴史があり、国内では400社2500機種の汎用機、PC、プリンタ、POSシステムなどを保守サポートしてきた。その数は、23万台に達する。ITインフラをトータルでサポートできるのが日本IBMの特徴であり、これによって顧客の課題を解決できるようになる」とした。

マルチベンダー保守サービス
企業のITインフラをトータルでサポートできるという

 最後の「オートメーションとグローバルを活用した高品質のサービスデリバリー」では、ITビジネスを支え続けるために、オートメーションとコグニティブを実装して提供するとのこと。コグニティブな洞察により、高度な意思決定を支援するほか、IT運用を自律的に管理し、サービス品質の向上を実現する。また、ITの自律的なガバナンスにより、継続的な最適化する進めることができるという。

サービスデリバリーの変革
オートメーションとコグニティブの統合

 このほか、次世代ITインフラ向けサービスプラットフォーム「IBM Services Platform with Watson」により、世界中でのシステム運用およびシステム稼働データをドライバーとした、ナレッジベースのサービスプラットフォームを実現。ここでは、「データレイクを提供できるのはIBMしかない。45年の実績で蓄積したシステム稼働データを活用できることは、IBMの最大の強みである」などとした。

IBM Services Platform with Watson

6つ目のIBMブランドファミリー「IBM Services」

 一方2017年後半から、IBMでは6つ目のIBMブランドファミリーとして、「IBM Services」を新たに活用している。

 IBM Servicesは、IBM WatsonやIBM Cloud、IBM Systems、IBM Research、IBM Securityと並ぶ、ブランドファミリーのひとつに位置付けており、「顧客から見てもわかりやすいものになる。IBM Servicesとして、業種別対応から、ビジネスデザイン、プロセスデザイン&オペレーション、エンタープライズアプリケーション、モバイル、ネットワーク、クラウド、保守までのエンドトゥエンドのサービスメニューを提供。オールIBMのサービスとして、ビジネスとテクノロジーの融合により、どちらの側面からも柔軟に支援をしていくことができる。IBMにとっても大きなビジネスチャンスがある領域である」とした。

 なお、新たなブランドの活用に伴う組織変更や再編はなく、GTS事業およびグローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業も、そのままの体制となる。

IBM Servicesブランドを立ち上げ