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日本IBM、グローバル・テクノロジー・サービスの事業戦略について説明

コグニティブ技術を活用した新サービス・プラットフォームを提供

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は9月26日、ITインフラ・サービスに関する記者説明会を開催し、同社が展開するグローバル・テクノロジー・サービス(GTS)の事業戦略、および今年7月にグローバルで発表したIBM Watsonベースの新サービス・プラットフォーム「IBM Services Platform with Watson」の概要について説明した。

 「当社は、世界最大のITサービスの事業体であり、ビジネス全体の4~5割をグローバル・テクノロジー・サービスで占めている。このサービスでは、ITインフラの構築・運用からサポートまでをカバーし、あらゆる業界の企業ITのニーズに対応している」と、IBMのビジネスの中核を担っているのがITインフラ・サービスであると話すのは、日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏。「現在、ビジネス環境が大きく変化しているが、この変化に素早く対応するには、システムを管理するのではなく、サービスを管理する『サービスインテグレーション』が重要になる。そのために当社では、他社に先駆けてコグニティブ技術とオートメーションをITインフラに適用していく」と、グローバル・テクノロジー・サービス事業の戦略を述べた。

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏

 この戦略を推進するために、今年7月に発表したのが、IBM Watsonを活用した初のコグニティブ・サービス・プラットフォーム「IBM Services Platform with Watson」だ。このプラットフォームは、IBMクラウド上で構築され、コグニティブ技術を活用して人の知性を高めることで、サービスプロバイダの業務の品質を向上させ、専門家がより高度な価値をもたらす業務に注力できるよう支援するという。主なサービス機能として、「Manage」(管理)、「Optimize」(最適化)、「Design」(デザイン)の3つがあり、「まずは、『Manage』のサービス機能を提供している。今年10月から『Optimize』を提供開始し、2018年第1四半期には『Design』をリリースする予定となっている」(マハジャン氏)と、今後のロードマップについて明らかにした。

「IBM Services Platform with Watson」の概念図

 各サービス機能の具体的な内容としては、「Manage」では、IT環境が正常な状態で稼働するために、自動化を実装して円滑な管理を実現。「Optimize」では、自動化環境で蓄積されたデータから、自動化環境の高度化など、さらなる最適化を提言する。「Design」では、ユーザーのリクエストの内容を認識して、適合するソリューションを立案するという。

 日本IBM GTS事業本部 デリバリー&トランスフォーメーション アドバンスド・オートメーション担当部長 IBM Services Platform with Watsonエバンジェリストの堀洋平氏は、「自動化エンジンを組み込んだ3つのサービスデリバリー機能によって、顧客のIT環境のデザイン、管理、最適化を実現する。そして、これら機能のベースとなっているのが、過去から現在までの膨大な運用データやシステム稼働データが蓄積されたIBM Data Lakeだ。ここには、30年以上のアウトソーシング経験で培ってきた豊富な知見とアセットが集約されている。さらに、IBM Data Lakeに蓄積されたデータを、頭脳であるIBM Watsonが理解、推論、学習し、インサイトを提供する。ユーザーには、新たなデジタル体験の窓口として、専用ダッシュボード『コグニティブ・デリバリー・インサイト』が提供され、複雑化したIT環境を可視化することが可能となる」と、「IBM Services Platform with Watson」の全体概要を説明した。

日本IBM GTS事業本部 デリバリー&トランスフォーメーション アドバンスド・オートメーション担当部長 IBM Services Platform with Watsonエバンジェリストの堀洋平氏

 「『IBM Services Platform with Watson』を活用することで、企業は、IT環境の運用管理を自動化し、システムの安定稼働、パフォーマンスの改善、アベイラビリティの向上、さらには“Time to Value”の短縮を図ることができる。また、各種データソースの融合とコグニティブデリバリーを実現する専用ダッシュボードにより、ITパフォーマンスの最適化や継続的な品質改善、自動化適用の推進、ユーザー満足度の向上に期待できる」(堀氏)と、その導入効果を強調。「IBMが提供するオートメーションとコグニティブサービスで、『人がITを運用する』世界から、『ITが自動的にサービスし続ける』世界への変革を加速していく」との考えを示した。

ユーザー専用ダッシュボード「コグニティブ・デリバリー・インサイト」の概要