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富士通、流通業界向けのIoT活用サービス基盤「SMAVIA」を販売開始

 富士通株式会社は20日、流通業界の顧客が保有している販売管理や在庫管理、輸配送などをはじめとしたサプライチェーンの各システムに蓄積されたデータや、作業員の位置情報、バイタルなどのセンシングデータを連携させ、新たなデータ利活用を実現するIoT活用サービス基盤「FUJITSU IoT Solution SMAVIA(以下、SMAVIA)」の販売を開始した。

 SMAVIAは、業務システムでそれぞれ管理されているデータをクラウド上に収集・統合し、物流倉庫などの現場における人・物・環境などのセンサーデータと組み合わせて、販売や在庫の状況、物流コスト、人の作業効率などを分析することで、流通業界で課題となっている人手不足への対応や売上の最大化に向けた最適な改善施策へつなげ、競争力強化を実現するサービス基盤。

 サービスは、業務システムやIoT機器のセンサーデータを収集・蓄積し、流通在庫の最適化や作業員の能率の可視化などの機能を実現する独自アルゴリズムをAPIとして提供する「FUJITSU IoT Solution SMAVIA プラットフォーム(以下、SMAVIA プラットフォーム)」と、それらのデータをもとに顧客の業務を分析・可視化し、改善を支援するデータ利活用サービスで構成される。

「SMAVIA」の構成イメージ

 SMAVIA プラットフォームは、顧客のデータ利活用シーンに合わせて、サプライチェーンの業務システムや現場のIoT機器などから必要なデータのみを収集し、蓄積する。それらのデータは、富士通の社内実践や流通業界のシステム構築・運用で培ったノウハウをもとに開発したAPIや、富士通のAI技術「Zinrai」を用いることで、業務に有効なデータ活用を支援する。

 データ利活用サービスとしては、倉庫作業の効率を分析・可視化する「SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンス」、RFIDと在庫管理データの組み合わせにより瞬時に商品の所在を把握する「SMAVIA 店舗在庫探索アシスト」、AIチャットボットの活用で顧客対応を支援する「SMAVIA 質問回答アシスト」の3種類を提供する。

 SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンスでは、業務システムで管理されている業務指示データや実績データと、作業員の位置情報や転倒転落などを検知する「ロケーションバッジ」などのIoTデバイスで取得した現場センシングデータをSMAVIA プラットフォームに収集し、倉庫作業員ごとの作業時間や移動距離、動線を可視化する。それらのデータをもとに作業効率の平均値を算出し、その数値と比較した各作業員の改善ポイントを洗い出し、作業員のスキルの平準化や生産性向上を図る。

 SMAVIA 店舗在庫探索アシストでは、在庫品の出し入れの際に、ハンディターミナルで商品に付けたRFIDタグを読み取り、店頭とバックヤードのどちらに商品があるかの所在情報を付与する。それらのRFIDデータと、在庫システムやPOSシステムのデータをSMAVIA プラットフォーム上で組み合わせて管理することで、常に店舗の最新の在庫状況と商品の所在をスマートフォンやタブレット端末から瞬時に把握できるようになる。また、店員がハンディターミナルを持って探している商品に近付くと、ハンディターミナルがRFIDを読み取って音を発する機能により、商品を探す時間を従来よりも短縮できる。

 SMAVIA 質問回答アシストでは、現場でのコミュニケーション活性化を支援する「スマートコミュニケーション」を活用して、店員がAIチャットボットとのテキストベースのやりとりにより、顧客からの問い合わせに対して、スムーズな回答を支援する。さらに、SMAVIA プラットフォームに蓄積された日々の問い合わせデータを機械学習させ、顧客の関心や売れ筋商品の予測、店舗ごとに異なる顧客の傾向を分析し、店頭ラインナップの企画に活用するなど、マーケティング戦略や接客品質の向上に役立てていく。

 製品の価格(税別)は、SMAVIA プラットフォームが月額55万円から、SMAVIA 倉庫作業員パフォーマンスが作業員1人あたり月額3000円。SMAVIA 店舗在庫探索アシスト、SMAVIA 質問回答アシストは個別見積もり。

 富士通では今後、データ利活用サービスのメニューを2018年度中に13種まで拡充。2020年度までに、SMAVIA関連ビジネスで累計売上200億円を目標とする。