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富士通、仮想ネットワークからの通信データを欠損なく高速収集する技術を開発

 富士通株式会社は10日、NEDOが管理法人を務める内閣府事業において、仮想ネットワークからの通信データを欠損なく高速収集する技術を開発したと発表した。あわせて、大規模かつ広範囲なネットワークの通信データを分析可能にするため、仮想・物理ネットワーク双方から、合計100Gbpsまでの通信データを欠損なく汎用のx86サーバー上に蓄積する技術も開発している。

 今回富士通が開発したのは、仮想ネットワークの通信データを、従来技術の約7倍となる10Gbpsの速さで、欠損なく収集する技術。仮想ネットワークの複数個所から通信データの高速収集を可能にする高速収集技術と、大量の通信データによって発生する輻輳(ふくそう)を回避しながら、通信データを転送する高速転送技術を組み合わせて実現しており、これを適用することで、仮想ネットワーク内を正確かつリアルタイムに監視可能になるとした。

 また、従来の通信データ蓄積技術では、収集した通信データを格納先の汎用x86サーバーへ無作為に蓄積するため、格納先に通信データの蓄積処理が集中し、処理性能を超過してしまうことによって、通信データの一部に欠損が発生してしまっていた。さらに、必要なデータの取り出しにも時間を要していたという。

 そこで富士通では、通信データの特性に応じてデータの格納先の振り分けを行うとともに、格納先を示すデータ検索管理情報を付与できるように改善。これにより、通信データの蓄積処理が集中するのを避けられ、汎用のx86サーバー上でもデータのスムーズな格納や取り出しを行えるようになったとのこと。

 また、100Gbpsの通信データを欠損なくリアルタイムに汎用x86サーバーへ蓄積できるため、仮想・物理ネットワークが混在する組織内部のネットワークであっても、正確かつ俯瞰(ふかん)的に監視を行えるとしている。

 富士通はこれらの新技術を、複数システムの仮想化統合を実現するネットワークサーバー「FUJITSU Network IPCOM VX2」、および、通信データをまとめて蓄積できるソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora TC」に実装し、2018年度上期に提供することを目指す。