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クラウド導入で企業のWAN構築/運用管理負担が増加、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は25日、3月に実施した国内法人のネットワークサービス利用動向に関するアンケート調査結果を発表した。調査では、クラウドやモバイルなどの新技術の導入により、過半数の企業でWAN構築や運用管理の負担が増加したという。

 調査企業に対して、クラウドやモバイルといった新技術の影響による、WAN構築や運用管理の負担感の変化について、スキル面と工数面に分けて尋ねた質問では、「負担感が増加した」と回答した企業が、スキル面で74.9%、工数面で61.4%といずれも過半数となった。

クラウドやモバイルといった新技術の影響による、WAN構築や運用管理の負担感の変化(出展:IDC Japan)

 この結果の背景には、WANの接続機器、接続先(クラウドサービスなど)、接続技術などが多様化することで、企業におけるネットワーク設定のための新たなスキルの習得、セキュリティ対応、トラブル発生時の切り分けなどが難しくなっていることがあると考えられると分析。さらに、企業のユーザー部門が、パブリッククラウドで提供される機能や価格に魅かれ、信頼性や品質が十分でないパブリッククラウドを契約するケースが増えているといったことも、WAN管理者の負担増加の一因になっているとしている。

 また、スキル面で「負担感が増加しておりアウトソーシングを拡大したい」を選択した企業は約2割となり、徐々にではあるが、企業のWAN構築/運用管理負担の増加により、アウトソーシング市場拡大につながっていく可能性を示唆していると分析している。

 IDC Japanコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏は、「今後、パブリッククラウドの利用増加により、企業の端末からパブリッククラウドまでのエンドツーエンドのネットワーク構築/運用管理負担はますます増加するであろう。企業がこのような負担増を回避するには、パブリッククラウド選定に当たって、ユーザー部門とIT部門が連携し、パブリッククラウドの機能や価格面だけでなく、信頼性や品質面もしっかり評価すべきである」と提言している。