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マルウェア対策製品を手掛けるOPSWAT、レノボとの連携と日本法人設立を発表

 米OPSWATは27日、日本法人の設立、およびレノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)の国内アライアンスプログラム「Lenovo Together」に参画したことを発表した。レノボは、OPSWATのセキュリティソリューションの販売を今週より開始する。

 OPSWATは2002年に米国で設立され、ITインフラのセキュリティと管理ソリューションを提供している企業だ。すでに米国、ハンガリー、ルーマニア、ベトナム、英国に拠点が存在する。

 今回の発表に合わせて開催された記者説明会において、OPSWAT CEO兼創設者であるBenny Czarny氏は、「グローバルで1000社を超える組織に採用されており、原子力機関、防衛組織、政府機関、金融、通信キャリアといった大規模システムから、SMBに至るまで幅広く利用されている」と同社のビジネスが好調であることをアピールした。

米OPSWAT CEO兼創設者のBenny Czarny氏

 「日本市場に参入したのは5年以上前だが、その5年間にもさまざまなサイバーセキュリティの事案が発生している」と述べるCzarny氏は、2015年にメールに添付されていたウイルスが発端となった日本年金機構の事案を例に挙げ、「日本ではセキュリティ分野に年間60億ドル以上の投資が行われているが、いまだに多くの事案が発生している。既存のウイルス対策ソフトウェア、ファイアウォール、IPSといった対策では不十分」と指摘。

 その上で同氏はOPSWATのアプローチを「データの中の脅威を防御し、組織への攻撃を防ぐ」と述べ、「組織に入ってくるデータと組織から出ていくデータをトンネリングすることで防御する」と説明した。

 OPSWATの製品群は大きく3種類のカテゴリに分けられる。メイン製品であるITシステムの脅威検出・防御プラットフォーム「Metadefender」、SDK(開発キット)の「OESIS Framework」、そしてデバイス内のマルウェアを検出する「Metadefender Cloud Client」や、アプリケーション、ファイルの脅威を検出する「Metadefender Core」など、無償で公開されているツール群だ。

 日本法人であるOPSWAT株式会社のマネージング・ディレクター、渡辺アラン氏は、Metadefenderについて、「マルチスキャン、データ・サニタイズ(無害化)、脆弱性検出エンジンのテクノロジーで構成される」と説明。さらに「これらはそれぞれ個別の製品としてではなく、3つのテクノロジーが1つの製品として提供される」と述べた。

 マルチスキャンは、提携しているセキュリティベンダーの提供するセキュリティエンジンを最大で30個利用し、データの中に潜む脅威を検出・防御することができる。

 なお、利用するセキュリティエンジンはユーザーが選択可能で、OPTWATのおすすめの組み合わせ以外にも、自由にエンジンを組み合わせることが可能であるという。ただし、30個すべてのエンジンを利用できるのはWindows版のみであるとのこと。この理由について渡辺氏は、「パートナーのエンジン側がLinuxに対応していないものがあるため」と説明した。

 また、データ・サニタイズについて渡辺氏は、「ほかのベンダー製品では無害化した後のファイルが、本来のファイルのように使えないこともある。たとえば最近ではPowerPointのアニメーションに脅威が潜んでいることもあり、ほかの製品では無害化するとアニメーションできなくなることがあるが、Metadefenderで無害化されたファイルは通常通りアニメーションすることができる」と製品の優位性を説明した。

 脆弱性検出エンジンについては、Skypeをオンラインでダウンロードしてインストールする状況を例に挙げ、「ソフトウェアをダウンロードしてインストールする場合、ダウンロードを実行する前に脆弱性のアラートを出すことができる」と説明した。

OPSWAT株式会社 マネージング・ディレクター 渡辺アラン氏
Metadefenderを構成する3つのテクノロジー

 OPSWATの日本法人は、今回の発表に先立って2016年12月に設立されているが、すでに同社製品のローカライズ(日本語化)の作業は進行しており、今年の4月までにすべての製品の日本語化が完了する。また製品だけではなく、企業サイト、24時間365日体制のサポートについても日本語に対応していく予定であるという。

 今回提携を発表したレノボ 執行役員専務の安田稔氏は「ビッグデータの時代に向けてセキュリティのニーズは高まっている。総務省でも、マイナンバーの管理システムと業務系システム間の通信は無害化するようガイドラインが発表されている」と述べ、今回の提携によってOPSWATの製品を x86サーバである「System X」に搭載して販売するという。また、サーバー以外でも、PCやタブレットなどその他のレノボ製品のセキュリティ向上にもつなげていきたいとしている。

レノボ 執行役員専務の安田稔氏