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パブリッククラウドとオンプレミスの連携利用はID連携やデータ連携などに課題~IDC Japan調査
2016年9月29日 17:35
IDC Japan株式会社は29日、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーの連携利用を妨げる課題に関する調査結果を発表した。エンタープライズITインフラストラクチャーにおけるパブリッククラウドサービスの利用にあたっては新たな課題が顕在化し、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーの連携利用を妨げ、両者を組み合わせた最適なエンタープライズITインフラストラクチャーの実現を遅らせているとしている。
調査では、ITバイヤーに対するインタビュー調査の結果から、エンタープライズITインフラストラクチャーにおけるパブリッククラウドサービス利用の際の課題について分析。その結果、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーの連携利用に際して顕在化した課題は、ID管理、データ連携、アプリケーション連携、運用/管理、費用配賦(各部門への費用の割り振り)の5つの領域で発生していることが分かったという。
これらの中で、特に深刻度が高いのは、ID管理、データ連携とアプリケーション連携で、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーの連携利用をする上で、阻害要因となるためとしている。
パブリッククラウドサービスは、サービス提供者が個々に独自のID管理機能を有しており、個別に運用することを基本としている。このため、ITバイヤーがオンプレミスITインフラストラクチャーで利用しているシングルサインオン機能では、即座にIDを統合管理することができず、ITバイヤーはパブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーでIDの二重管理を行うか、シングルサインオン実現のためにあらたにID連携機能を追加導入することを強いられていると指摘する。
また、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーとの間におけるデータ転送の遅延によって、アプリケーション側の処理とデータベースアクセスのタイミングに差が生じ、アプリケーションの異常終了や従来実現していた処理性能を発揮できない場合があると指摘。パブリッククラウドサービスは、サービス提供者が個々に独自の操作画面を提供しており、オンプレミスITインフラストラクチャーのアプリケーションの操作画面とユーザーインターフェースを共通化する際には課題が顕在化する場合もあるとしている。
IDC Japanエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊雅行氏は、「企業のパブリッククラウドサービス利用は拡大している。しかし、同サービスの利用に当たって新たな課題が顕在化している。ハードウェアベンダーは、ITバイヤーが抱える課題の解決策を早急に提供すべきである。ハードウェアベンダーが、ITバイヤーの課題に対処するということは、パブリッククラウドサービスとオンプレミスITインフラストラクチャーの連携処理に関する各種APIや、自動構成機能を自社ソリューションに備えることを意味する。つまり、ハードウェアベンダー製品において、Software-Defined Infrastructure(SDI)への対応を強化し、ITバイヤーのエンタープライズITインフラストラクチャーの最適化実現に寄与することが、ハードウェアベンダーにおける注力ポイントになる」と分析している。