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F5 ネットワークス、オンプレミスからのクラウドへのシフトも積極的に支援
2016年9月21日 06:00
F5ネットワークスジャパン合同会社(以下、F5)は16日、「企業のパブリッククラウドシフトとF5が果たす役割」と題したメディア向けブリーフィングを開催し、企業のクラウドシフトが進む中でF5の置かれている状況や、今後クラウド環境においてどのようなビジネスを展開していくのかなどを、ビジネスデベロップメントマネージャの帆士敏博氏が解説した。
企業システムのクラウドシフトが加速している現状、これまでオンプレミスに依存したビジネスを展開してきた多くのハードウェアベンダーは、今後のビジネスをどのように展開していくかについて頭を悩ませている。もちろんF5も例外ではなく、9月で事業年度が切替わったF5は、新しい年次戦略の中に"パブリッククラウド"というキーワードを盛り込んでいる。
この新たな戦略について帆士氏は、「F5は、オンプレミスでロードバランサーを提供しているハードウェアベンダーというイメージが強い。実際、オンプレミスのハードウェアがビジネスの大きな割合を占めており、今後もそれが無くなるとは思っていない。しかし、企業の基盤がクラウド化していく中で、F5はロードバランサーも含めたセキュリティの機能を、オンプレミスとクラウドで一貫して提供するビジネスにシフトしていくことになるだろう。幸いにもF5の持つ技術的な源泉はハードウェアではなく、ソフトウェアにある。そのため、F5はハードウェア/ソフトウェアのADC(Application Delivery Controller)ベンダーとして、お客さまのクラウドシフトを支援することができる」と述べた。
現状の企業のクラウド利用状況について、帆士氏はCiscoによる調査結果から、2015年の段階でクラウドを利用している企業の大多数は、既存のオンプレミスの環境とプライベート/パブリックのクラウドを組み合わせて利用するハイブリッドクラウドのシステムを構築していると説明。また、利用するクラウドについても、現状ではプライベートクラウドの利用比率が高い傾向にあるものの、今後はパブリッククラウドの利用比率が拡大していくと予想しているという。
さらに帆士氏は、50社程度の企業を対象に、クラウドの利用実態について独自調査を行った結果を紹介した。どのパブリッククラウド(Iaas)を使うかという設問に対し、50%の企業がAWSを、20%の企業がAzureを利用していると回答した。なお、20%の企業が複数のパブリッククラウドを併用する"マルチクラウド"であり、今後ますますマルチクラウド化が進んでいくと予想される。
また、多くの企業は基幹システム(コアシステム)はオンプレミスのまま運用し、その他のノンコアのアプリケーションをプライベート/パブリックのクラウド上に展開することが多いという。
ハイブリッドクラウド環境やマルチクラウド環境、あるいはシャドウITと呼ばれるシステム管理部門が関与していないサービスの利用により、企業のアプリケーションは分散化し、セキュリティや可用性が破綻してしまっていることも多い。そこでF5は、どこにいてもすべてのアプリを一貫性のあるポリシーで利用できるよう、シングルポイントでコントロール可能なL4-7のプラットフォームを提供していきたいという。
F5では、ユーザーがどのクラウドを利用してもセキュリティや可用性を自在にコントロールできるよう、AWSやAzureチームとも連携するクラウド専任部隊を設立しており、2017年末までに60件の受注を目標に活動している。開発する製品やサービスについても、クラウド環境で最高のL4-7プラットフォームの提供を目指すという。
F5は9月8日にクラウドインテグレータのFIXERとの協業を発表しており、マイクロソフトのMicrosoft Azure上で動作するセキュリティサービス「cloud.config Secure Cloud」の提供を開始している。
さらに、10月にはクラウドに特化した新しいパートナープログラムを発表する予定となっており、すでに数社のクラウドインテグレータが新しいプログラムに参加予定であることを明らかにした。