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【SDN Japan初日レポート】基礎技術からInteropなどでの活用事例まで、幅広い話題を紹介 (OpenDaylightは新しいビジネスを作れるか)

OpenDaylightのパネルディスカッションも

OpenDaylightは新しいビジネスを作れるか

コーディネーターの 日経コミュニケーション編集長 加藤雅浩氏

 同日には、OpenDaylightプロジェクトに関するパネルディスカッションも開かれた。

 まず、コーディネーターである日経コミュニケーション編集長の加藤雅浩氏が、OpenDaylightについて紹介した。OpenDaylightは、SDNコントローラフレームワークを中心に、アプリケーションからのAPI(Norghbound API)なども含めて開発していこうというオープンソースのプロジェクト。The Linux Foundationのプロジェクトであり、通信機器や仮想化製品のベンダーなどそうそうたる企業が参加している。IBMの牛尾愛誠氏は、最初のリリースである“Hydrogen”が、12月に公開される予定だと紹介した。

 加藤氏の「OpenDaylightは新しいビジネスを作れるのか、もうかるのか」というテーマに対して、牛尾氏は、「OpenDaylightは、成果物ではなく、皆が考えてやりたいことを実現するための道具を整備するのが役割」と答えた。また、シスコシステムズの早川浩平氏は、「品質の高いコントローラフレームワークが無償で公開されるので、それを土台や部品として、その上でコントローラやアプリケーションが作れる。例えば、ネットワークのシミュレータで試した構成をそのまま実際のネットワークに反映するようなシステムを、いちから作ることなく開発できる」と答えた。

 ブロケードの小宮崇博氏は、SDNやOpenDaylightでさまざまなベンダーの機器がつながると、ベンダー1社ではサポートできず、インテグレーターのビジネスチャンスが広がると指摘。さらに、OpenDaylightの目指すのは、より上位のレイヤーのクラウドと組み合わせたサービスではないかとして、「上位レイヤーがSDNをサービスとして使いたおしてほしい」と語った。

 NECの工藤雅司氏は、NECのOpenFlowコントローラ製品のコードの一部からVTN(Virtual Tenant Network)としてOpenDaylightのプロジェクトとしていることを紹介した。これは、OpenDaylightのほかの技術と触れあうことでNECの製品にもよいフィードバックが期待されることと、OpenDaylightプロジェクトに技術を持ちよることで業界のイノベーションを進めることを期待しているという。

 デルの鈴木孝規氏は異なる視点から、「デルはいままでコンピュータやストレージなどの世界で、コモディティ化による価格破壊を進めてきた。OpenDaylightによって、次はネットワークの分野で、低価格なハードウェアをグローバルに提供していくチャンスとなる」という可能性を示した。

 これを受けてシスコの早川氏は、「コントローラのコモディティ化に、ある意味で危機感は持っている」と語った上で、IoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)といった“モノのインターネット”の時代を支えるのは既存のネットワーク技術では無理で、SDNはその重要な要素であると論じた。

 そのほか、OpenDaylightへの参加などについても議論がなされ、パネリストからは異口同音に「ぜひ使ってほしい」「参加のハードルは低いので参加してほしい」「市場を作っていく」とメッセージが発せられた。

壇上のパネリスト
牛尾愛誠氏(日本アイ・ビー・エム株式会社)
工藤雅司氏(日本電気株式会社)
小宮崇博氏(ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社)
鈴木孝規氏(デル株式会社)
早川浩平氏(シスコシステムズ合同会社)

(高橋 正和)