米HP、企業向けPCラインアップを刷新~ノートPCにはFORGEフレームワークを採用


 米Hewlett-Packard(以下、HP)が、中国・上海で開催している報道関係者向けのプライベートイベント「A NEW HP WORLD」において、HP コネクテッド・ビジネスコンピューティング・ポートフォリオを発表するとともに、大企業から中堅・中小企業を対象とした法人向けPCの新製品群を発表した。

 今回発表された製品はアジア太平洋地域には投入され、一部製品が日本市場にも順次投入されることになる。

 また、これらの製品には、新たな概念として、FORGEと呼ばれるアプローチが新たに盛り込まれていることを示した。

米HP パーソナルシステムズグループ アジアパシフィック日本地域クライアントソリューションズ兼アクセサリー&サービス担当のAnnneliese Olson副社長

 HP コネクテッド・ビジネスコンピューティング・ポートフォリオは、強固なセキュリティ環境の実現と生産性向上、TCOの低減を実現するものと位置づけており、「HPのコマーシャル製品は、イノベーション、エクスペリエンス、エコシステムという3つの観点から強化を進めている」(米HP パーソナルシステムズグループ アジアパシフィック日本地域クライアントソリューションズ兼アクセサリー&サービス担当のAnnneliese Olson副社長)という。

 具体的に、「イノベーションでは、歴史的なR&D投資を背景に、顧客の視点から課題を追求し、その解決を図っている。現在は、知的財産や情報を守るセキュリティ、運用時のエネルギー効率が、顧客の大きな関心事であり、それに対する取り組みを加速している。またエクスペリエンスでは、デバイスだけでなく、それらを活用していかに価値を実現できるかがポイント。小売店においてはデジタルサイネージと連動させ、顧客に商品を購入してもらうためのソリューションを構築する。そして、エコシステムとしては、ハード、ソフト、ソリシューション領域においてパートナーとの協業を促進しており、その結果、3Dエンターテイメントの制作現場や、飛行機の設計分野、株式取引といった分野において、HPのハードウェアが活用されている」などとした。

 同社では、HP コネクテッド・ビジネスコンピューティング・ポートフォリオによって、次のようなユーザーのニーズをサポートできるとしている。

 デスクトップと同様の環境に加えて、高度なシステムおよびグラフィック・パフォーマンス、セキュリティ、管理機能を必要としている「モバイルプロフェッショナル」、費用効果の高いビジネスPCを求めている「中小企業」、クライアントの仮想化環境あるいはクラウド・コンピューティング環境を活用し、シンプルで、手ごろな価格で生産性を向上したいと考えている「環境意識の高い顧客」、スケーラブルかつ環境に配慮して設計されたテクノロジーベースのラーニングソリューションを必要としている「教育関係者」、アイデアを形にするために高度な処理能力やクラス最高のディスプレイを必要としている「アーティスト」、簡素化された最先端の患者ケアを実現するために安全かつ信頼性に優れた強力なシステムを必要としている「医療機関」、カスタマーエクスペリエンスの改善、業務の効率化、売上高向上を目指している「小売業者」などだ。

 A NEW HP WORLDの会場でも、具体的なソリューション事例を紹介しながら、同社製品とパートナー製品を組み合わせた提案の強みを訴求していた。


銀行を事例に大規模ソリューションを展示旅行代理店では中小規模の導入事例を示す医療分野の事例および流通ソリューションを紹介
POSシステムとしての活用事例病院内で利用するPCの導入事例医療分野での利用を想定したキーボードはウォッシャブルキーボードとなっている
Digatal Contents Studioではワークステーションの活用事例を示すInfinite FrameWorksがHP Z200ワークステーションを活用して辰巳ヨシヒロ氏の半生や作品を題材にアニメ作品を制作教育分野での導入事例も紹介していた

 

数多くの新製品を発表

 今回、HPが発表した新製品は、HP コネクテッド・ビジネスコンピューティング・ポートフォリオをベースに開発されたものとなる。

 ノートPCのHP ProBook 4230sは、耐久性に優れたメタルフレームを採用したWXGAの12.1型ノートPC。Core i7プロセッサの搭載を可能にしたほか、最大で8GB DDRメモリの搭載、750GB HDDの搭載を可能としている。またオプションでフィンガーポイントセンサーの搭載も可能。価格は699ドルから。3月中旬からの出荷を予定している。

 また、HP EliteBook 8460pは、最上位に位置するビジネスノートPCで、14.0型ディスプレイを搭載し、UMAまたはパフォーマンスディスクリートグラフィックスの選択が可能になっている。待機時間で32時間を実現し、10万時間以上の耐久テストを行ったという。Core i7プロセッサ(2.7GHz、8MB L3キャッシュ)を搭載し、最大で8GB DDR3メモリ、1750GBのHDDもしくは160GBのSSDが搭載できる。価格は1099ドルからで、アジア太平洋地域では、3月中旬からの出荷予定している。


HP EliteBook 8460pHP ProBook 4230s

 HP Compaq 8200 Elite Series Business PCは、プレミアムビジネスPCと位置づけられる製品で、パフォーマンスを最大40%、HDDアクセスを最大15%向上させることができる。「高度なデスクトップパフォーマンス、オプション、セキュリティ、IT制御を望んでいる顧客に勧める製品」としており、最大で90%の省エネ化を実現、vProによる管理性とセキュリティを実現している。Core i7プロセッサの搭載が可能で、4つのDIMMスロットにより最大16GB DDR3メモリを実現。1TBのHDDあるいは160GBのSSDの搭載が可能となっている。

 価格は679ドルからで、4月から発売する予定。

 HP t5570 Thin Clientは、業界初となるEPEAT Goldに登録されたシンクライアント。Windows Embedded Standard 2009を搭載したほか、迅速な構成および配備を可能とするHP Easy Toolsを搭載しており、生産性の向上と環境保全を重視するユーザーに適した製品と定義している。価格は399ドルから。

 HP Elite L2291x LED Backlite LCD Monitorは、1980×1080のフルHDを実現した21.5型のディスプレイを採用したPCで、10mmという薄さのパネルと、4kgを切る重量を実現しているのが特徴。デスクトップソリューションの構築を容易にするPCだとした。価格は249ドルで、4月から出荷を開始する。


HP Compaq 8200 Elite Series Business PCHP t5570 Thin Client
中国市場向けのHP t5400 Thin ClientHP Elite L2291x LED Backlite LCD Monitor

 現時点では、日本でどの製品が発売されるかは現時点では未定。市場性などを考慮して投入する機種を決定するほか、日本語化の作業などがあるため、出荷時期はアジアパシフィック地域の出荷時期に比べて1か月程度遅れるという。

 これらのなかでノートPCの新製品は、FORGEと呼ばれるアプローチが行われている。

 FORGEとは、Form(形成)、Optimize(最適化)、Richness(豊かさ)、Guarded(保護)、Enduring(耐久性)の頭文字から構成される造語で、同社コマーシャルノートPC製品の設計フレームワークと位置づけられるものだ。

 アルミニウム合金製ヒンジ、鋳造チタン合金製ディスプレイラッチによるHP DisplySafeフレームなどを採用しているという。

 米HP パーソナルシステムズグループシンクライアント兼ビジネスデスクトップグループ ワールドワイドマーケティングマネージャーEric Crosswhite氏は、「FORGEは、HPのノートPCのインダストリアルデザインのフレームワークといえるものであり、顧客がよりよい体験が行えるようなデザインが可能になる。高い品質の製品が提供できる」などとした。

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(大河原 克行)
2011/2/25 06:00