週刊海外テックWatch
AIエージェントが塗り替えるソフトウェアの形 CLI復権がもたらす効率と新たな脅威
2026年5月11日 11:23
CLIは「エージェントの手足」になる
GWS CLIは、Google Workspaceのメール、文書などのサービスをCLIから扱えるようにするツールだ。オープンソースで公開され、現時点では公式にサポートされた製品ではない。
インストールすると「スキル」が追加され、さまざまなGoogleサービスを完全に操作できるようになる。「会議を設定して」「資料をまとめて」「このフォルダの内容を整理して」などの指示でエージェントが、Gmail、Drive、Calendar、Sheetsを横断的に処理する。今まで画面を開き、タブを切り替え、コピペを繰り返していた作業が、1行の指示で完結する世界だ。
GitHubリポジトリの説明によると、GWS CLIは「Google Workspace全体のための1つのCLI」で、「人間とAIエージェントのために作られた」という。AIエージェントが特定の業務タスクを自律的に実行するための100以上のエージェントスキルも含む。Gemini CLIだけでなく、OpenClawなど外部のAIツールにも対応しており、AIエージェントがWorkspaceを操作するための「機械が読むことのできる操作盤」となる。
The Registerは、GWS CLIによって「オフィスソフトウェアの全領域が、エージェントが操作してユーザーの目標達成を支援する、単なるもう一つのツールへと変わった」と評する。そしてほぼすべての主要ソフトウェアプロバイダーが、自社製品のCLI開発に奔走するだろうと予想し、「これこそが『SaaSの終末』というものだ」と読み解く。
では、Googleのサービス以外はどうか。「あらゆるアプリケーションを操作する」という汎用CLIも、すでに現れている。
香港大学の研究者らは3月初め、任意のソフトウェアをAIエージェントが操作できるCLIへ変換する「CLI-Anything」を公開した。GitHubリポジトリを持つあらゆるものをターミナルから制御可能にするオープンソースのフレームワークで、GitHubで3万以上のスターを獲得している。
「SKILL.md形式のエージェント向け指示ファイルを生成する設計で、Claude CodeやOpenClawなど既存のAIエージェントが、ブラウザー操作や複雑なファイル処理などのタスクを自律的に実行できるよう支援することが主な目的」とし、そのビジョンを「エージェントネイティブ・ソフトウェア」と呼んでいる。
ソフトウェアは、「画面を見ながら操作するもの」から「エージェントから使いやすいもの」へと進んでいる。