週刊海外テックWatch

老若男女が「ロブスター飼い」 中国のAIエージェント熱狂

「OPC」支援で手厚いサポート

 中国のロブスターブームの背景には、地方政府の強い後押しがある。

 深セン市龍崗区は3月7日、OpenClawを指名してAIエージェントビジネスを支援する施策を発表した。通称「龍蝦十条(ロブスター10カ条)」と呼ばれているもので、起業家を対象に助成金や補助金を提供し、「世界一のエージェント起業都市」を目指すという。

 9日には江蘇省無錫ハイテク産業開発区(無錫新区)も支援策を発表した。ほかにも上海、武漢などハイテク特区が同様の動きを見せている。テクノロジーを軸に地域産業振興を目指すもので、オープンソースソフトのフル活用を戦略としている中央政府の方針にも合致するからだ。

 各施策にはそれぞれ、コンピューターリソースやオフィスの提供など「一人会社(OPC=One-Person Company)」の支援策も盛り込まれている。OPCは、従業員を雇わずAIを活用して事業を行う形態で、厳しい若年者失業率の中で、高学歴層の魅力的な選択肢となっている。エージェントの波に乗れば、資金はなくとも、大成功できるチャンスがあるのだ。

 そんなブームの真っ最中の3月13日、「国家ネットワーク安全通報センター(国家網路安全通報中心)」が公式の警告を発した。OpenClawには「アーキテクチャ設計、デフォルト設定、脆弱性管理、プラグインエコシステム、および動作制御において重大なセキュリティリスクがある」として、サードパーティー製プラグインへの注意、エージェントの実行権限の制限などを呼び掛けるものだ。

 これを受けて、自分のPCからあわてて削除しようとするユーザーも出たようだ。SCMPによると、今度は「有料のアンインストールサービスがソーシャルメディア上であふれかえった」という。

 それでも、中国のOpenClawブームは衰える兆しを見せていない。

 セキュリティ企業SecurityScorecardが公開している「Global Exposure Map」のリアルタイムモニターによると、3月22日現在、世界でインターネット上に露出しているOpenClawインスタンスは約20万で、そのうち中国が4割以上を占め、2位の米国の2倍近くに上る。

 熱狂と危険が同居する中国のロブスターブームは、いったいどこへ向かうのだろう。