大河原克行のキーマンウォッチ

「New BlueとMore Blueの獲得でさらなる成長を」~日本IBMマーティン・イェッター社長 (クラウド、データ、エンゲージメントなどを注視)

クラウド、データ、エンゲージメントなどを注視

――社長就任3年目に入りました。今後はどんなことに取り組みますか。それによって、日本IBMをどう成長させますか。

「すべての話題がデータ中心になっている。データに加工を加えることで競争力を強化できる」と話すイェッター社長

 私が2012年5月に日本に来たときには、市場環境が大きく変化しようとしていました。データやクラウド、エンゲージメントへの変革が始まったばかりであり、それに向けた体制づくりに力を入れてきたわけです。これからも、ワークフォース全体をこうした方向に進めていかなくてはならない。クラウド、ビッグデータ、アナリティクス、エンゲージメント、あるいはモバイル、ソーシャル、スマーターコマースといったことに注視していかなくてはならないと考えています。また、顧客接点の取り組みも増やしていきます。

 日本のビジネスリーダーと話をすると、必ずビッグデータやアナリティクスの話が出てくる。すべての話題がデータ中心となってきています。

 企業を取り巻く環境が代わり、情報技術が変化するなかで、もっとも注目されているのがデータなのです。いまやデータは天然資源と同じ役目を果たし、それが経済成長や社会の進化をもたらしています。いわば、18世紀の蒸気、19世紀の電力、20世紀の炭化水素と同じような役割を、データが果たしているのです。まさに、原油を精製するように、データに加工を加えることで競争力を強化することができる。

 毎日、世界中で620万GBものデータが生まれています。これは150万枚のDVDに相当し、映画の上演時間に換算すると300年分にもなります。これだけ大量のデータを処理するには、インテリジェントなテクノロジーが必要になる。その技術を使って、必要なものと、必要でないものが理解できれば、それこそデータは宝庫となります。そこから分析を行い、洞察を導き出すことができれば、それに勝るものはありません。

 一方で、クラウドサービスやモバイルデバイス、ソーシャルメディアを通じて、エンゲージメントが実現される世界がやってきている。世界各国とつながり、顧客とつながり、社員とつながるといったように、われわれのつながり方は変化してきている。

 日本IBMは、世界でもっとも幅広いクラウドサービスポートフォリオと、さまざまなレベルで利用できるアナリティクスの知見を活用し、日本の企業を支援していきたい。

 クラウドの動きは始まったばかりであり、変革も始まったばかりです。まだまだやらなくいはならないことがたくさんあります。そこに向けて、注力していくことに、これからも変化はありません。日本は将来にわたって、ますます重要な市場になると考えています。そのなかで、日本IBMの事業を引き続き成長させていきたいですね。

大河原 克行