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Windowsが「Bash」をサポート クラウド戦略を進めるMicrosoft

クラウドをOSに代わる主軸に

 一連のMicrosoftの施策がどの程度のインパクトを与えるのかはまだ分からない。調査会社RedMonkのアナリストFintan Ryan氏は「Web開発者には理想的」とする一方、Microsoftが狙いとする様々なプラットフォーム向けの開発者では「Linux開発者は獲得できず、既存の開発者の維持にとどまる」との見方を示す。

 このコメントを紹介したWiredは、もし選択できるのなら、「Windowsを使っている開発者は、LinuxやUNIX風のMac OS Xを選ぶ」と現状を説明する。

 Windows専門媒体のThe Windows Clubは、Microsoftのクラウドへの注力、それにあたってのオープンソースの取り組みのもう一つの狙いについて、「9年後にはOS事業から撤退する可能性がある」とした上で、次のように分析する。

 Microsoft自身もWindows 10が“最後のOS”と認めている。クラウドに注力するにあたって、MicrosoftはAzureをOSに関係なくあらゆるサービスに利用できるクラウドプラットフォームと位置付ける必要があり、そこでLinuxを受け入れるしかない――。

 何にせよ、技術業界におけるベンダーや技術的な対立がなくなれば、開発者、さらにはエンドユーザーのメリットになる。PC Worldは「絶対に起こり得ないことが起こった」と賞賛する。

 Light Readingのインタビュー動画では、西海岸支局のMitch Wagner記者が「11年前にBill Gates氏がオープンソースは共産主義だと言ったが…」と切り出し、Mike Schutz氏が「市場がダイナミックに動いているのだ」と返す場面がある。時代が変わったことを印象づけるものだ。

 Microsoftの取り組みの効果は既に出ている。RightScaleの調査では、Azureの利用が増加傾向にあることが明らかになっており、Schutz氏も「日々新しいユーザーが加わっている」と説明している。直近の四半期(2015年10-12月期)のAzureの売り上げは前年同期比140%増の急成長だった。

岡田陽子=Infostand