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「企業はマルチクラウドへ、セキュリティ懸念は後退」 クラウド利用調査

AWS vs Azure、AWS vs 既存システムベンダー

 メディアの注目を集めたのは、ベンダーのシェアだ。パブリッククラウドではAWSがダントツのリード。57%が運用環境で利用しており、17%が実験中、8%が計画中と回答した。2位はMicrosoftのAzure(IaaSとPaaS)。運用環境で利用しているのは20%、実験中と計画中の合計は44%。そしてGoogle(IaaSとPaaS)では運用環境は10%、実験中と計画中の合計は31%という結果だった。

 調査によると、数字の面ではAWSの57%は昨年と変わらないが、ワークロードの数は増えているという。2番手のAzureは、IaaSで5ポイント、PaaSで4ポイント増加し、AWSとの差を縮めたかっこうだ。Azureは特に実験中・計画中という回答が多いことから、「これらの実験や計画が実り、将来的にAzureの受け入れが増える可能性がある」としている。

 Motley FoolはAWSとAzureの視点から分析。AWSの売上高は直近の四半期で前年同期比69%増だったが、Azureは、これを上回る127%増だった点に触れる。Azure加速の一因となっているのが「Windows 10」だ。Windows 10はシステムバックアップでAzureを使っており、Azure Active Directoryを利用すればスタッフのWindowsデバイスのモニタリングができることなど、高い親和性によって相乗効果が出ているという。

 また、クラウドを重視するCEO、Satya Nadella氏の下で「Azure Machine Learning」や「Azure IoT Suite」など、Azureを活用したサービスの提供を積極的に進めている点も指摘する。一方で、AWSは黒字化が明らかになったが、Azureの収益性については、わからないとも付記している。

 Fortuneは、AWSと既存システムベンダーという図式で分析した。「レガシーのIT企業(Microsoft、Hewlett Packard Enterprise、VMware、IBM、EMC、Dell、Ciscoなど)は、プライベート、社内で運用するITと連動するパブリッククラウドリソースを提供することの重要性を強調している」とし、「これらの企業は自社のソフトウェア、サーバー、ストレージを継続して提供して顧客の設備で動かしてもらうため、"復讐心"とともにハイブリッドクラウドをプッシュしているのだ」と述べている。

 AWSは敵であり、「ハイブリッド機能がAmazonのアキレス腱とみられているのは、偶然ではない」とFortuneは指摘する。なお、AWSを率いるWebサービス担当シニアバイスプレジデントのAndy Jassy氏も、顧客の一部のアプリケーションは規制などを理由に当面はハイブリッドモードで動くだろうと認めているとのことだ。

岡田陽子=Infostand