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コンテナ標準化プロジェクト発足 Dockerの転機

 注目のコンテナ管理ソフト技術を巡って大きな動きがあった。サンフランシスコで開催された米Dockerの年次開発者会議「DockerCon」で、コンテナの統一仕様策定を目指すプロジェクト「Open Container Project(OCP)」の立ち上げが発表された。同社は同時にコンテナ化したアプリケーションを動作させるランタイム「runC」も発表した。将来のメインストリームと目される技術が“標準戦争”を回避した動きだ。

主要クラウドプレーヤーがすべて参加

 「Dockerコンテナを巡るさまざまな活動があったが、業界はもっとボックスを正確に定義すべき時が来たと感じている。そこで、われわれはボックスの形(フックや穴がどこになるかといった)についての言い争いはやめて、もっと高いレベルでイノベーションにフォーカスし始めた」。DockerCon初日の6月22日、基調講演に立ったDocker社CEOのBen Golub氏はこう述べて、オープンコンテナの標準化プロジェクトOCPの立ち上げを発表した。

 OCPは三大原則として、(1)上位レベルの特定のクライアントやオーケストレーションスタックに縛られない、(2)どのような特定の商用ベンダーやプロジェクトとも特別に緊密な関係を持たない、(3)広範囲のOS、ハードウェア、アーキテクチャ、パブリッククラウドに移植できる――を掲げている。

 設立メンバーは、Docker、CoreOS、Amazon Web Services(AWS)、Cisco、富士通、Goldman Sachs、Google、HP、Huawei、IBM、Intel、Linux Foundation、Microsoft、Red Hat、VMwareなどで、主要なベンダーがすべて顔をそろえたかっこうだ。プロジェクトはLinux Foundationの管理下で運営される。

 runCは「OSコンテナのユニバーサルランタイム」で、標準化の取り組みにおける、最初の具体的な成果となる。作成したDockerイメージをプラットフォームの違いにかかわりなく、そのまま実行できるという。Dockerは、関連仕様とともに、コンテナフォーマットのコードをOCPに寄贈した。

 コンテナの標準化の重要さを、WIRED.comはこう解説する。「貨物コンテナは輸送の世界に革命をもたらした。あらゆる荷物を統一された方法でパッキングできるようになって、船会社は費用を節約し、プロセスの無駄をなくした。だが、これはコンテナの大きさや形に統一規格があってこそ可能になることだ。このことはソフトウェア・コンテナでも同じだ」

 Linux FoundationのJim Zemlinエグゼクティブ ディレクターは声明の中で「OCPによって、Dockerはコンテナの未来をフラグメンテーションから救った」と称賛した。OCPの正式なドキュメントは、2-3カ月のうちにできる見込みという。

(行宮翔太=Infostand)