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Jobs氏の生前の言動が明らかに 10年ごしのiPod訴訟
(2014/12/8 09:50)
Real Networks vs Apple
原告側は、当時デジタル音楽ストアを展開していたReal Networksに対してAppleがとった行動を持ち出した。Appleは楽曲を管理するためにDRM技術「FairPlay」を開発しており、iTunesで購入した音楽はすべてFairPlayを用いてエンコードされていた。これにより再生できる端末に制限を設けていた。
そこでReal Networksは自社音楽ストア「RealPlayer Music Store」で購入した楽曲を、iPodを含むさまざまなデバイスで再生できるようにするために「Harmony」という技術を開発した。RealPlayer Music Storeが利用するDRM技術「Helix」をFairPlay互換のファイルに変換するというものだ。このHarmonyは2004年半ばにリリースされた。
これに対し、AppleはReal Networksが「ハッカーの戦術」をとっていると非難し、iTunesソフトウェアのアップデートによりHarmony技術をブロックした。Real Networksは再度、Appleの対策を回避するHarmonyを公開したが、Appleは2006年、さらにこれをブロックした。
結局、Real Networksは、訴訟も辞さないとするAppleの態度を受けてHarmonyの提供を打ち切った。AppleはiTunesでのDRM技術の利用を2009年にやめている。
原告側の弁護士は、AppleがiPodの立場を危うくするとして懸念していたことを示すため、Jobs氏の言動を持ち出した。Reutersなどによると、12月2日にカリフォルニア州オークランドで開かれた法廷陳述では、2004年7月にJobs氏がReal Networksを非難するプレスリリースを打ってはどうかと持ちかけたメールが明らかになった。
Jobs氏は「これはどうだろう? 『Realがハッカーの戦術と倫理観を取り入れ、iPodに侵入したことに驚いている』」と記している(この文言はそのまま上記のプレスリリースになっている)。これに対し、マーケティング責任者のPhilip Schiller氏は「Realをハッカーにたとえているのが気に入った」と回答している。
メールだけではない。Jobs氏が亡くなる半年前、2011年4月の宣誓証言の動画も登場した。CNN Moneyによると、Jobs氏は集団訴訟での主張に対し、「この件でどのような主張がされているのか知らない」と述べたという。Real Networksについて聞かれたJobs氏は「まだ存在しているの?」と返し、一貫してごまかす態度で、「知らない」「覚えていない」「思い出せない」を計74回も発した、とReutersは伝えている。
Apple側の主張は、iPodをセキュリティ上の脅威から守るためにiTunesを更新する権利があるというものだ。これには、Real Networksのソフトウェアがもたらすダメージから守ることも含まれる。
New York Timesはこの訴訟前にすでに明らかになっていたものとして、Jobs氏がデジタル音楽サービスの「Musicmatch」を懸念して送った2003年のメールを挙げている。「Music Matchが音楽ストアをローンチした際に、iPodで利用できないようにしておく必要がある」「これは問題になるだろうか?」というものだ。