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Amazonのスマートフォンはゲームチェンジャーか 「Fire Phone」発表

Fireの勝算は?

 言うまでもなくスマートフォン市場の競争は激烈だ。多くのベンダーがしのぎを削っており、収益をしっかりと出しているのは上位2社のAppleとSamsungぐらいとされている。GoogleはMotorola Mobilityを手放すことを決断。FacebookもHTCとFacebook向けに最適化した端末を投入したが成功したとは言えない。市場はコモディティ化が急速に進んでおり、主戦場はミッドレンジやローエンドにシフトしている。

 その中でのAmazonの勝算はどうなのだろう――。そこではハイエンドスペックよりもソフトウェアが差別化になると見る向きは多い。中でも、FireflyはショッピングのAmazonならではの機能だろう。「モバイルレジ」と表現したのは、Wall Street JournalやNew York Timesなどだ。「デジタル音楽や映画、eコマースサイトからの売り上げを加速する戦略の一部だ」とWall Street Journalは分析する。

 「いい製品で、洗練されたアイデアか? 答えはイエスだ。だが成功するかとなると、疑問だ」とノースウェスタン大学でAmazonを研究するMohan Sahney氏はFinancial Timesにコメントしている。3Dのような画面にも注目は集まるが、過去にもLGが3D対応スマートフォンを製品化したものの人気が出なかった。モバイル専門コンサルRadioFreeMobileのRichard Windsor氏は「Amazonは差別化を図る必要があるが、アプリ・エコシステムで差別化を図るべきであって、ハードウェアではない」とGuardianに述べている。

 Guardianはスマートフォン市場の状況を考慮に入れながら、AppleやSamsungをライバルとするのではなく、「HTC、LG、Motorolaなど、米国でシェアを落としつつあるAndroidベンダーのユーザーをターゲットにすれば、戦える可能性はあるのではないか」と予想している。

 New York Timesは「チャンスを逃したAmazon Fire Phone」と見出しを付けた。3Dライクな画面などの機能を削って端末の価格を250ドル程度にすれば消費者が毎月支払う料金は62.5ドル程度になるとはじき出し、「これならば(Fireは)画期的な製品になったはずだ」とする。

(岡田陽子=Infostand)