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攻めに出たDropbox アプリスイート戦略は成功するか?

 Dropboxが新しい写真共有アプリや企業向けのソリューションを発表した。簡単に使えるオンラインファイル共有サービスとして脚光を浴びたDropboxだが、クラウドストレージの一般化とともに、激しい競争にさらされている。ライバルのオンラインストレージサービスBoxがIPOを計画する中、Dropboxがどう戦っていくのかが注目されるが、法人市場への拡大、ベンチャーから、どう確立された企業に成長するのかなど、同社の課題は少なくない。

ストレージアプリから脱却

 Dropboxは4月9日、本拠地のサンフランシスコでイベントを開き、製品関連の4つの発表を行った。1つ目は写真・動画の管理や閲覧ができる「Carousel」、2つ目はビジネスユーザー対象の「Dropbox for Business」の一般提供、3つ目はドキュメントコラボレーションの「Project Harmony」、4つ目は買収した「Mailbox」のAndroid版だ。

 1つ目のCarouselはiOSとAndroidに対応するモバイルアプリで、写真をクラウドに保存し、友人と共有できるというものだ。撮影地や時間に合わせて管理したり、一括アップロードなどの機能もある。Dropboxの共同創業者でCEOのDrew Houston氏は発表イベントで、「これまでわれわれは、Dropboxという名称の、1つのアプリのみを提供してきたが、今後はアプリケーションのスイートモデルに移行する」と述べた。

 2つ目と3つ目は、法人分野での取り組みとなる。Dropbox for Businessは昨年11月に発表していた有料サービスで、個人用とビジネス用の2つのアカウントを同一の画面で利用できる。これまでベータ版として一部ユーザーに提供してきたが、今回一般公開となった。暗号化などのセキュリティ機能、ID管理や統合性などの機能も備え、IT管理者に訴求する。

 また、Project Harmonyは「Microsoft Office」に対応し、WordやExcelなどのドキュメントの共有とコラボレーションが可能だ。だれがどのような変更を加えたのがわかるだけでなく、チャット機能も持つ。Officeに機能を重ねるオーバーレイアプローチによりリアルタイムコラボレーションを実現する。2014年後半に提供開始の予定だ。

(岡田陽子=Infostand)