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成層圏の戦い Googleの気球とFacebookの無人機

 Facebookが無人機を開発しているTitan Aerospaceと買収交渉をしていると一部メディアが報じた。ソーシャルサービスを展開する同社が無人機とは意外な組み合わせだが、世界のインターネットにアクセスできない人々に安価なサービスを提供するという高邁な目的をもってのことだという。Googleも気球を利用して同様にインターネットアクセスを提供する計画を進めている。ソーシャルサービスの覇権をめぐってサイバースペースで争ってきた両社だが、その戦いは成層圏へと広がる。

Facebookの無人機メーカー買収交渉

 買収交渉を最初に報じた3月3日付のTechCrunch によると、Facebookは、超高度に太陽光で飛行する無人機を飛ばして、世界のインターネットが及んでいない地域にブロードバンドサービスを提供することに興味を持っており、Titanに6000万ドルの買収額を提示しているという。成立すれば、まずTitanの次世代無人機「Solara 60」を1万1000機製造する計画としている。

 Titanは2012年設立。元Microsoftのコンシューマー製品部門トップで、軽量ジェット機メーカーEclipse Aviationを創設(2008年に資金難で破綻)したVern Raburn氏がCEOを務めている。同社の無人機Solaraは、バッテリーと翼面いっぱいの太陽電池を搭載する機体で、一度、高高度に達すれば、長期間、太陽光で発電しながら飛び続けることができる。その分、サイズは大きく、現行機種の「Solara 50」の翼長は約40メートルとボーイング767並み。商用サービスは2015年の開始を予定している。

 Solaraが飛ぶのは高度2万メートルで、偵察用など他の無人機も飛行する成層圏だ。成層圏は、その下の対流圏より気流が安定しており、無人機を飛ばしやすい。Titanが“スイートスポット”と呼ぶ高度1万8000メートルから2万1000メートルのエリアは、風速毎時10キロ以下の穏やかな空間だという。

 無人飛行機でインターネット接続するという考えは、荒唐無稽のように感じられるが、制御さえきちんとできれば、安定航行は可能だ。Solaraは太陽光パネルで発電した電気をバッテリーに蓄え、夜の間も飛行。一度飛び立つと、無補給で5年間飛び続けることができるという。Titanは無人機を利用してアフリカにインターネットアクセスを提供する「Internet Africa Project」というプロジェクトを掲げており、Facebookの考えにマッチした格好だ。

(行宮 翔太=Infostand)