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企業文化の曲がり角 従業員の不満続くGoogle

巨大企業になったGoogle

 相次ぐ退社には、もちろん個別の事情もあるだろうが、全体に会社と従業員のギャップが広がっているように見える。

 シリコンバレーのスタートアップだったGoogleは、いまは巨大企業だ。2021年現在のGoogleの従業員数は約15万6000人。2010年(約2万4400人)からみても6倍以上。2014年からは8年連続で2ケタ増を記録している。

 「Googleには、インセンティブのミスマッチが起こっている」。元Googleのプリンシパルエンジニアで、現在、Rustベースのターミナルを開発しているWarpの共同創業者でCTOのZach Lloyd氏はブログでこう分析している。

 つまり次のようなことだ。

 「GoogleやFacebookのエンジニアは昇進してキャリアを積みたいと常に考えているが、プロモ(昇進)カルチャーの中では昇進の基準をビジネスの目的と一致させるのが非常に難しい。

 スタートアップのころは、会社の成功からみれば、エンジニアにとって昇進は二の次の関心事だった。ゼロから何かを築くことに誇りを持って働く。会社の成功のために働くことが、自分の昇進にもなり、迷いはない。

 しかし、成功したスタートアップはプロモカルチャーに傾倒する傾向がある。会社が成長するにつれ、ビジネスの目的と昇進の2つのインセンティブは一致しなくなる――」

 「エンジニアは製品を愛しているし、それを磨きたいと思っている。しかし、彼らは昇進も望んでいる」とLloyd氏は言う。

 自由なGoogleも大企業病からは逃れられないのかもしれない。