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企業文化の曲がり角 従業員の不満続くGoogle

「Google Cloudは“SAP 2.0”」

 全社だけでなく、部門単位でも最近、不協和音が聞こえている。

 今年3月、AI部門の研究者Satrajit Chatterjee氏が解雇された。同部門は約2年前、AI倫理問題を巡る事件で2人の研究者が去ったところだ。New York Timesは「新たなAI研究者の解雇」と伝えている。

 Chatterjee氏は、Googleが昨年6月に科学誌「Nature」に発表した論文の主張を支持しないと社内で表明し、内容が「厳密にテストされているか」に疑問を投げかけたと同僚が証言している。

 Chatterjee氏は会社の許可を得て反論の論文を用意していたが、許可は突然撤回されたという。解雇はその直後だった。元になった論文は、チップ設計を強化学習で改善できるというものだ。

 また、部門全体が不穏な雰囲気になっている例もある。

 Google Cloudでは、4月末に営業担当バイスプレジデントのRobert Enslin氏と、カスタマーエクスペリエンス担当副社長のJohn Lester氏の2人が退社した。同部門では、今年になって、バイスプレジデントのOliver Parker氏、データ分析担当バイスプレジデントのDebanjan Saha氏ら、幹部が相次いで辞めている。

 Insiderは、20人以上の現・元Google Cloud従業員に取材し、その多くから組織内の緊張が高まっているという証言を得ている。

 Thomas Kurian CEOの指揮下で、「Google Cloudのやり方、文化は、OracleやSAPに似た堅苦しい、厳しい営業文化になった」といったものだ。これを“SAP 2.0”と呼ぶ社員もいたという。