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「Fuchsia」が静かに製品化 Googleの“第3のOS”

 Googleの“謎のOS”「Fuchsia」が静かにローンチした。その存在が明らかになって約5年。製品になるのかさえ定かでないプロジェクトだったが、ようやく具体的な形を得た。だが、AndroidとChrome OSに続く同社のOSでありながら、発表も説明もなく、その位置付けは、なお明確にされてはいない。

スマートホーム向けディスプレイで展開

 最初に報じた9to5Googleによると、FuchsiaはGoogleのスマートディスプレイ「Nest Hub」のアップデートとして提供されている。発見のきっかけは「Fuchsia1.0」を搭載したNest Hubが、標準化団体のBluetooth SIGから新しい承認を受けたのを確認したことからだという。

 Nest Hubは2018年に発売された7インチ画面を持つ第1世代のスマートディスプレイだ。Linuxベースの「Cast OS」で動作していたが、ネットワーク経由で数カ月かけてFuchsiaにアップデートするという。だが、この移行で「使用感は基本的に全く変わらない」ため、ユーザーに意識されることはないという。

 9to5Googleがこれを伝えた5月25日は、開発者イベント「Google I/O」の1週間後だ。しかし、GoogleはイベントでFuchsiaについて一切触れておらず、今回のローンチについてプレスリリースのようなものも出していない。

 発表らしきものとしては、FuchsiaOSツールチェーンチームでテクニカルリードを務めるPetr Hosek氏が、「新しいOSは毎日出荷するというものではない。だが今日はその日だ」とTwitterで書いているだけだ。

 「Fuchsia」(紫がかった濃いピンク色の意)は、2016年にGitHubに公開され、その存在が知られた。その後、静かに立ち上げられたプロジェクトのWebサイトは、こう紹介している。

 「セキュリティ、更新性、性能を優先する、プロダクションレベルのOSを作成するオープンソースの試みだ。開発者がさまざまなデバイスで長期に存続する製品と体験を構築する基盤となる」