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「世界5大クラウドの1つ」目指す Huaweiのパブリッククラウド攻略

展開のカギは“ヒドラ”戦略

 Huaweiがパブリッククラウドに本腰を入れ始めたのは、2015年からだ。同社は後発ながら、通信機器メーカーとして、チップ、ネットワーキング、端末をすべて自前で持っており、クラウド事業にはこれらを活用できる。

 チップ分野では、このイベントの直前に同社のコンシューマー事業部が「Kirin 970」を発表した。「AIモバイルコンピューティングプラットフォーム」と呼ぶもので、AI専用の処理ユニット「NPU」(Neural Network Processing Unit)を統合して、CPU、GPUをしのぐAI性能を持つという。今後、「Mate」ブランドで展開するスマートフォンに搭載する予定だ。

 パブリッククラウド市場では上位ベンダーへの集中が進み、2015年末にHPE(Hewlett Packard Enterprise)が撤退。2017年にも入ってVMwareが撤退するなど、負け組は去っている。Gartnerは4月に「2019年にはネイティブクラウドのIaaS事業者の90%が市場から追い出される」とのレポートを発表しており、AWS(Amazon Web Services)とMicrosoftの2社の寡占状態を予想している。

 そんな中のHuaweiの「トップ5」発言は無謀とも見える。

 調査会社CanalysのアナリストはFinancial Timesに、「確かに野心的」としながらも、「追いつかなければならない。だが、Huaweiにチャンスはある」と述べ、そこでは、DTなどの通信事業者が重要な役割を果たすと予想する。

 The Registerは、Huaweiのクラウド戦略を、ギリシャ神話の「ヒドラ」(多頭の蛇の怪物)に例える。国外では、Huaweiが構築してDTやFTのブランドをつけた“ホワイトレーベル”戦略をとること、アプリケーションプラットフォームサービスも備えることなどで、AWSなど既存のIaaSベンダーとの差別化を図ると分析する。

 アプリケーションプラットフォームサービスはレンタカーに例えられる。AWSから車を借りるには、エンジン、ギアボックスや車輪などの基本コンポーネントを借りて、自分で組み立てねばならない。これに対し、Huaweiとそのパートナーたちは、カスタマイズされた車を提供するというのだ。