クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

仮想化環境のストレージパフォーマンスを大幅改善――Infinio Accelerator Ver4.0

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2020年6月30日
定価:本体2000円+税

ストレージ高速化で仮想化基盤を加速

 今や業務システムの大多数は、仮想化基盤上で稼働している。データベースやERPのようなエンタープライズアプリケーション、デスクトップ仮想化基盤(VDI)や一般のサーバーアプリケーションまで、幅広い用途で仮想化基盤が用いられている。

 仮想化環境では、早くからストレージがボトルネックになることが指摘されており、大きな課題となっていた。国内ではクライムが提供している「Infinio Accelerator Ver4.0」は、サーバー仮想化ソフトウェアとして圧倒的なシェアを誇るVMware vSphere環境のストレージを高速化するソリューションだ。ハードウェアの追加やダウンタイムなしで既存環境にインストールして、遅延を20分の1、スループットを10倍にも向上できるという。

メモリを最大限に活用するキャッシュ技術

 高速なオールフラッシュアレイであっても、ネットワークのラウンドトリップを避けることはできない。そこでInfinio Acceleratorでは、アプリケーションに近いサーバー側にデータを確保する“キャッシュ”に注目したアーキテクチャで、ラウンドトリップを避けてI/Oを向上している。

 ポイントは「メモリファースト」な設計である。RAMはSSDなどのフラッシュメモリと比べても高速だが高コストになる。そこでInfinio Acceleratorは、データのアドレスではなくコンテンツとしてキャッシュすることで、物理容量よりも5~10倍のキャッシュをメモリ上に確保している。もちろん用途に合わせて、サーバーのPCIeフラッシュドライブやNVMe SSDなどを組み合わせることもできる。

 そしてInfinio Acceleratorの重要な特長として、サーバーのRAMとフラッシュストレージを透過的に利用できる点を挙げたい。つまり、DRSやVAAIなど、VMware環境に統合されたスナップショットやクローンといったストレージ機能もそのまま利用できるということだ。そして上述したように、Infinio Accelerator自体もダウンタイムなしに既存環境へ15分ほどでインストールでき、VMwareとシームレスに統合されて運用に影響を与えることはない。

「Infinio Accelerator Ver4.0」の画面

RAMの自動割り当てでパフォーマンスを安定的に高速化

 最新版であるバージョン4.0では、いくつかの機能が新たに追加された。特に注目したいのは「RAMキャッシュサイジングの自動化」機能である。

 この機能は、キャッシュに利用するRAM容量の割り当てを自動化かつ動的に変化させるものだ。例えば、メモリ割り当ての大きい仮想マシンが起動した場合にはRAMキャッシュを小さくし、仮想マシンが停止すれば再びRAMキャッシュに割り当てて、RAM消費量を一定に保つ。基盤の高速化と安定化を両立するものだ。

 ほかにも以下のような機能が追加されている。

  • SSDやフラッシュデバイスをサポート:大容量なSSD・フラッシュデバイスを組み合わせて、キャッシュを階層化できるようになった
  • 仮想マシン単位の高速化:優先度の高いアプリケーションへ最大のパフォーマンスを発揮するリソースを選択的に提供できるようになった
  • すべてのVMwareストレージタイプをサポート:SAN/NAS/DAS(Direct Attached Storage)ハードウェアがサポートするNFS、VMFS 、VMware vSphere Virtual Volumes(VVols)、VMware vSANに対応した。

 クライムでは、Infinio Acceleratorの評価版(30日無償)を提供している。上記のように簡単にインストールして試すことができるため、ぜひ性能を確認してみよう。