クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画
ABB - グローバルリーダーが提唱するDCビジネスのあり方と分電盤/配電盤の運用を革新するプラグインMCBとは
2015年3月31日 00:00
SMISSLINE TP
ABB
http://www.abb.co.jp/
ビッグデータのメガトレンドのもと、現在のデータセンターにはSDE(Software-Defined Everything)のコンセプトに後押しされたモジュール化とシンプル化、グローバル規模での分散化、電源供給手法の刷新などが求められている。ABBは革新的なソリューションの提供によって、その取り組みを支援し、ファシリティという考え方を超えたITソリューションとしてデータセンタービジネスを展開している。
柔軟性、拡張性、設置面積などDCが抱える多様な課題を解決
スイスBBC社とスウェーデンASEA社の2大エンジニアリングメーカーが合併して1988年に誕生したABBは、世界の100か国以上に約14万5000人の従業員を擁する、電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニーだ。
現在、ABBが最も注力している分野の一つがデータセンター関連ビジネスである。同社低電圧機器事業部データセンター事業開発マネージャのニコ・ニノフ氏は、その背景をこのように語る。
「“ビッグデータ”のメガトレンドに象徴されるように、企業が抱えるデータ量は、毎年驚異的なスピードで増加し続けています。また、それらのデータをいかに安全に管理し、活用していけるかが重要な課題となっています。そうした中でデータセンターの需要は今後ますます拡大していきます。そこで用いられる電気機器の市場規模も年率8%で成長を続け、2020年には2013年との比較で2倍に達すると予測しています」
ただ、一口にデータセンターを構成する電機プロダクトといっても裾野は広い。ABBでは、高圧配電盤や発電機、バッテリー、UPS/整流器、制御システムなどの幅広いポートフォリオを取り揃えているが、なかでも競合他社に対する圧倒的な優位性を誇っているのが、「配電・分電」に関連するプロダクトである。
「日本の系統電力は世界的に見てもきわめて高信頼と言われていますが、データセンター事業者としては、サーバーラックまでダウンタイムなく安定的な電力を届けることができて、はじめて責任を果たすことができます。メイン電源盤から低圧配電盤、低電圧分電盤、サーバー電源にいたる低電圧機器は、その中枢を支えているものです。ABBのプロダクトは電力供給の安全性はもちろん、柔軟性、拡張性、設置面積低減といった要件にも応え、現在のデータセンターが抱えるさまざまな課題解決に貢献します」とニノフ氏は語る。
分電盤/配電盤の運用を革新するプラグインMCBと電流計測システム
ABBが提供している数々の低電圧機器の中でも注目が集まっているのが、配電盤や分電盤およびそこに組み込まれるプラグインMCB(Miniature Circuit Breaker:配線用遮断器)の「SMISSLINE TP」だ。ABB日本法人の副社長であり低電圧機器事業部の事業部長を務める吉田剛氏は、同モジュールをこのように紹介する。
「SMISSLINE TPはサーバーラックの増設や変更に応じて随時追加できるとともに、ヨーロッパのIP2xB規格に準拠したホットスワップに対応。他のサーバーへの給電を止めることなく、安全にMCBの増設・変更が可能です」
ホットスワップに対応していることをうたったMCBは決して珍しくないが、それら製品の大半は作業時に感電防止用のグローブの装着を義務付けられるなど、細心の注意を求められるのが実態だ。ホットスワップが「可能」ではあっても、実際には「やりたくない」というのが運用現場の率直な思いだった。
これに対して、SMISSLINE TPは物理的なフィンガープロテクション(Touch Proof)によって、通電部分に指が触れないよう安全性が確保されているため、素手でも簡単にMCBの取り外しや付け替え作業が可能なのである。
また、MCB背面のコネクター部を移動することで、L1~L3まで柔軟に給電相の切り替えが可能で、ダウンタイムの低減はもちろん相バランスの正常化にも容易に対応できる。さらに小型化とともに縦型レイアウトを採用することで分電盤/配電盤全体のスリム化を実現し、設置面積の低減に大きく寄与する。
加えて、データセンターの運用最適化や予防保守を見据えた卓越したソリューションを提供するのが、電流計測システム「CMS(Current Measurement System)」である。超小型設計のセンサーを分電盤/配電盤の端子部に接続することで、ACおよびDCの電流をモニタリングすることができる。1台のコントロールユニットに対し、これらのセンサーを最大64個まで接続することが可能であり、従来のような複雑なケーブル配線は必要としない。システムの設定や計測機能の操作も、すべてタッチパネルから行える。
「誤差0.5%の高精度で電力使用量を“見える化”し、トリップを避けるための過負荷検出と適切な制御を実現します」と吉田氏は強調する。
熟練オペレーターの勘と経験に頼るのではなく、データに裏付けられた状況判断によって最適なデータセンター運用を導いていく、スマートテクノロジーの開拓者としてのABBの理念がこれらのプロダクトに体言されているわけだ。
DCを取り巻くビジネスはITソリューションへと移行する
ABBが見据えているのが、SDE(Software-Defined Everything:あらゆる物事をソフトウェアで定義する)のコンセプトであり、「モジュール化やシンプル化を追求したデータセンター設計の必要性が拡大しています」とニノフ氏は語る。
そうした中で、カスタマイズを前提とした個別設計から標準化(部品化と事前組み込み)によるコモディティ化、ハードウェアありきの設計からデータ主導型設計への移行、現場オペレーターの作業負荷を最小化するリアルタイム遠隔サポートの台頭、高効率かつ大規模なデータセンター構築を目的としたナレッジの共有モデル(オープンコンピューティング)の実現といった技術トレンドの変化が起こっている。「データセンターを取り巻くビジネスは、従来の“ファシリティ”を提供するという考え方から、ソリューションを提供する“ITビジネス”へと大きく移行しようとしているのです」とニノフ氏は説く。
今後、SDE(Software-Defined Every thing)が進展していくにつれ、標準化した分散型データセンターを、「よりエネルギーコストの安い国や地域に“コピー&ペースト”で配置し、グローバル規模で処理負荷を最適化する」といったことが当たり前に行われるようになると思われる。
こうした時代を先取りする最新データセンター構築においてABBは数々の成功実績を重ねつつ、プロダクトのさらなるブラッシュアップを図っていく考えだ。
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