事例紹介
クルマ選びの価値観を変えたい！――ガリバーのテーマパーク型店舗「WOW！TOWN」誕生秘話
（2013/10/28 06:00）
「WOW！TOWN（ワオタウン）」をご存じだろうか。株式会社ガリバーインターナショナル（以下、ガリバー）が2012年から運営する大型の中古車販売・展示場だ。空間演出やITを駆使して「従来の中古車販売の枠にはまらない新しい中古車販売を」と企画され、「クルマ選びのテーマパーク」と呼称されるWOW！TOWNには、クルマ選びを楽しくする仕掛けがふんだんに盛り込まれている。中にはiPad miniを使った仕掛けもあって、家族連れの子供にも好評だという。
そんなWOW！TOWNは、アイキューブドシステムズの全面協力の下で形にされていった。企画の意図、経緯、その狙いなどをガリバーITチームの坂口直樹氏に聞いた。前半でWOW！TOWNを紹介し、後半でiPadやクラウドの導入事例として、WOW！TOWNがいかにして作られたかを紹介する。
今までのクルマ選びの価値観をリセット
WOW！TOWNは、大型の中古車販売・展示場。2012年7月に千葉・幕張店、同年12月に埼玉・大宮店と大阪・箕面店がオープンし、現在3店舗が展開されている。「今までの中古車販売を忘れて、お客さまがいかに楽しく過ごせるかという点を考え直しました」（坂口氏）というコンセプトで、楽しみながらクルマ選びできるのが特長だ。
建物はアウトレットパークのようにおしゃれな佇まい。街中でよく見かける、雑然と並ぶ中古車、フロントガラスにベタベタ張り付けられた値札やスペックシート、場違いな感じがしなくもないフラワーアーチが飾られた従来の中古車販売店とは、雰囲気からしてまったく異なる。
「実際、中古車販売店と分からず入店されるお客さまも中にはいらっしゃいました（笑）」と坂口氏。そこには徹底して従来の中古車販売店と決別する意図があった。「例えば、スーパーや大型商業施設はふらっと入れますよね。それと同じように中古車販売店にも知識を入れて身構えて臨むのではなく、気軽に入れるようにしたかったんです」。
建物内部には「FAMILY」「FASHION」「ACTIVE」「ECO」「DRIVING PLEASURE」という5カテゴリのゾーンが用意され、空間プロデューサーに依頼して作った本格的な空間が広がる。Webサイトにある誕生秘話には「従来の中古車において選定基準は燃費、車種や走行距離などスペックばかりでした。それは本当に欲しいクルマなのでしょうか。もっと大事な『誰と』『どこで』『何をする』といった価値を大事にして欲しい。そんな思いから、新しい販売スタイルを目指しました。高い商品なので単なる移動手段として選ぶのではなく、今までに経験したクルマを選ぶという価値観が一度ゼロになるような、そんな演出や体験にこだわりました」とある。
顧客はWOW！TOWNを歩いて実際の利用シーンに即した展示を見ながら、自分のライフスタイルにあったクルマを想像する。そこから思わぬ出会いが生まれるかもしれない。このスタイルは北欧家具ストアのIKEAに似ていて、実際「IKEAを参考にしました」と同氏は語る。そのためには小道具も重要な要素だ。そこでICT技術が大きな役割を果たした。
