特別企画

仮想環境に特化して設計された新世代ストレージ「Tintri VMstoreシステム」【後編】

Tintriのデータ保護・運用管理機能、将来の動向について

VMstore同士で仮想マシン単位のデータレプリケーションも実行可能

 Tintri OS リリース2.0(現在の最新リリースは2.1)では、VMstore同士で仮想マシン単位のデータ同期を実行する『ReplicateVM』が新たに追加された。

 ReplicateVMは、コピー元のスナップショットからレプリケーション先のイメージを作成する手順がとられ、差分データは新しいスナップショットが作成されるたびに更新される。VMstore間でやり取りされる差分データは、重複排除とデータ圧縮が行われた後に転送され、そのデータ削減効果は最大95%にも達する。このため、レプリケーションに使用するWAN回線の帯域幅を絞ることができ、回線コストの削減にもつなげられる。

 ReplicateVMでは、同一のデータセンター内もしくは遠隔地のデータセンターに設置されたVMstore同士でレプリケーションパスを構成し、基本的な1:1方式に加え、多:1や1:多のレプリケーションにも対応している。また、仮想マシン単位でカスタマイズ可能なデータ保護ポリシーに基づき、最短で15分というRPO(目標復旧地点)を設定可能だ。

 仮想マシン単位でのスナップショット、クローニング、レプリケーションに対応したVMstoreは、将来的にVMware Virtual Volumes(vVOL)への対応も予定している。vVOLは、VMware vSphereとストレージ間の新たな通信プロトコルで、スナップショット、クローニング、データ階層化などを含め、すべてのストレージ操作を仮想マシン単位のきめ細かさで提供できるようにするものだ。

 ティントリ 技術本部長の村山雅彦氏は、「VMworldにおける実機デモでは、vVOLを実装したvSphereのα版(VMware社による提供)とvVOLを実装したVMstoreのプロトタイプ版を連携させ、vSphereのインターフェイスから仮想マシン単位のスナップショットやクローニングなどの動作を披露しました。VMstoreは、仮想マシン単位での制御をすでにサポートしていますから、VMstoreとvSphereのインターフェイスを追加するだけでvVOLに対応可能です。つまり、Tintriのコアアーキテクチャと設計思想に沿った機能拡張でよいわけです」と説明する。

VMstoreのレプリケーション機能『ReplicateVM』は、レプリケーションパスとして基本的な1:1のほか、多:1や1:多の構成にも対応する。例えば、多:1のレプリケーションパスを活用すれば、複数サイトに分散して配置されたVMstore群のレプリケーションをバックアップサイト1カ所に集約することが可能だ(出典:ティントリ)

(伊勢 雅英)