特別企画

新年度まであと2カ月! 今、IT管理者がやるべき準備とは?

要注意はサポート切れのサーバーとライセンス

 慌ただしさから、いつも最低限のことしかできない新年度のIT準備。「今年こそは」と、早めの準備を心がけているIT担当者も少なくないのではないだろうか? そんな今のタイミングだからこそ、事前にしっかり対策しておきくべき重要なポイントが2つある。未対策のまま放置すると、後々、大問題にもなりかねないそのポイントを、うまく新年度の準備に組み込みながら進めていこう。

やるべきことが多い新年度準備

 新入社員の増加に、部署や担当の変更、退職者の対応など、人と物が一気に動く4月の新年度。残り2カ月を迎え、その準備を着々と進めている人も少なくないだろう。

 新年度を迎えるにあたって、対処すべきIT関連の作業は、ざっと挙げただけでも以下のように数多くある。

・ハードウェアの購入と廃棄
・ソフトウェアの購入
・ソフトウェアのアップデート
・クライアントPCの準備
・ユーザーの登録・削除・移動
・メールアカウントの登録と削除
・グループウェアの設定
・ファイルサーバーのアクセス権設定
・業務アプリケーションの準備(会計・給与)
・新年度用データの準備
・旧データの削除やアーカイブ

 企業の規模や業務形態によっては、各項目が利用するハードウェアやソフトウェアの種類だけ増えたり、より多くのサービスを利用するための設定が必要になったりする場合もあるが、とにかくその作業量は膨大だ。

 社内にIT部門があるような企業であれば、毎年の準備も抜けなく、スケジュール通りに準備を整えられるだろうが、専任のIT部門や担当者がいない中小の現場では、なかなかそうはいかない。普段の業務をこなしながら、PCやサーバー、各種サービスの準備を進めなければならないとなると、PCの準備やユーザー登録など、最低限の準備だけで手一杯で、なかなかほかのことまで目が行き届かないことも多いはずだ。

 しかしながら、実は、その見落としがちな項目の中に、とても重要な対策が残されている可能性がある。ズバリ、サポートが終了するサーバー製品の更新、そしてライセンスの管理だ。

 特に今年は、2016年4月12日に、データベースサーバーのSQL Server 2005がサポート期限が終了するタイミングとなっている。

 まだ古いデータベースサーバーが残っている場合は、新年度の準備項目の中に、この更新作業を組み込んでおく必要がある。

見落としがちなポイント1:隠れたデータベースサーバー

 2014年4月9日のWindows XP、2015年7月15日のWindows Server 2003のサポート終了も記憶に新しいところだが、それに引き続き、今年の2016年4月12日にデータベース製品「SQL Server 2005」のサポートが終了する。

 今年の4月12日以降、SQL Server 2005は、セキュリティ上の問題を引き起こす可能性がある脆弱性や不具合が発見されたとしても、それを改善するための更新プログラムが提供されなくなり、ウイルスやスパイウェア、外部からの不正な攻撃に対して無防備な状態となってしまう。

SQL Serverのサポート終了日一覧

 SQL Serverは、Windows XPやWindows Server 2003に比べると、あまり聞き慣れない製品であり、ついつい「自社には導入されていない」「使っていない」と考えてしまいがちだが、実は、幅広い分野で活用されており、知らず知らずのうちに社内に存在するケースも多い。

 例えば、普段、業務に使っている会計ソフトや給与計算ソフトでは、そのデータを格納するためのデータベースとしてSQL Server 2005が使われていることが、よくあるのだ。

 自社が導入して使っているのは「○○会計」という会計パッケージだが、その動作条件としてデータベースサーバーが必須となっており、SIベンダーによっては、業務アプリケーション導入時に、一緒にサーバー上にSQL Serverがセットアップされているという場合がよくある。

 また、SQL Server 2005には、「SQL Server 2005 Express Edition」と呼ばれる無償の簡易バージョンが提供されており、これが宛名の管理ソフトや販売管理ソフトなどのデータ管理用に使われることも多い。総務などの担当者が自分のパソコンにインストールしているソフトウェアが、実はSQL Server 2005を使っていた、というケースもよくある話だ。

 いわば、「隠れSQL Server」といったところだ。

普段、意識しないところでもSQL Serverは使われていることが多い。宛名の管理ソフトなどで、無償の簡易バージョン「SQL Server 2005 Express Edition」が使われている場合もあるため、注意が必要だ

 通常、新年度に向けたIT準備では、業務アプリケーションそのものの管理やパソコン上のソフトウェアのインストールなどを実行するが、その裏で動作するデータベースまで意識することはなかなかない。

 しかし、サポートが終了したSQL Serverをそのまま使い続けることになれば、人事や給与、販売情報、名簿といった業務上、非常に重要かつ外部に漏えいすると致命的なデータが直接危険にさらされることになる。すでに運用が開始されたマイナンバーなどを管理することを考えても、非常に危険な状況だ。

 もちろん、本来であれば、もっと早くから対策しておくべき項目とも言えるが、中小の現場ではなかなか目が届かない。新年度準備でパソコンやサーバーを操作する機会が増えるこの時期こそ最後の移行チャンスと言えるだろう。

見落としがちなポイント2:あやふやなライセンス

 新年度の準備では、パソコンにソフトウェアをインストールしたり、業務アプリケーションやクラウド上のサービス、ファイルサーバーを利用するための設定を実行したりするが、そのソフトウェアやサービスを利用するためのライセンスは、きちんと必要数確保されているだろうか?

 業務アプリケーションやクラウドサービスであれば、機能を有効化したり、アカウントを追加したりする際に必ずライセンスが必要になるため、不足分を新たに購入するなど、必然的に意識させられるが、普段は意識させられないものの、実はライセンスが必要な製品も少なからず存在する。

 代表的なのが、Windows ServerのCAL(Client Access License)だ。アカウント管理やファイルサーバーとして、社内にWindows Serverを設置している企業も多いが、このサーバーに接続するには、クライアントの台数もしくはユーザーの人数分のライセンスを購入する必要がある。

Windows Serverにアクセスするためには、クライアント側でもCALというライセンスが必要になる

 恐らく、社内にWindows Serverを設置した際、その構築にかかった費用の見積もりや請求書には、CALの項目が存在し、現在、所有しているライセンスの数が記載されているはずだ。

 しかしながら、新年度を迎える度に、ユーザーを追加していくことはあっても、それに合わせてCALを追加購入することを忘れているケースは少なくない。専任のIT担当者が存在しない中小の現場では、そもそもCALというものの存在を知らなかったという場合もあり、知らず知らずのうちにライセンスに違反している場合もあるだろう。

 企業の法令順守は、今や企業規模の大小を問わず、すべての企業に要求される課題である。場合によっては、取引先から一定のレベルの法令順守を要求されることもあり、企業そのものの評価に直結するといっても過言ではない。

 ユーザーやパソコンの台数と所有するライセンスが合致しているのかをチェックするという簡単なことさえ守ることができなければ、企業としての信頼も失われることになりかねないだろう。

新年度作業項目の中でサーバーの棚卸しとライセンス確認を

 このように、新年度まで2カ月を切った今、企業は通常の準備作業に加えて、サポートが終了したサーバーが存在しないか? ライセンスはきちんと足りているか? をチェックし、具体的な対策を実施する最後のタイミングと言える。

 しかし、IT担当者は、そのことで必要以上に焦ることはないし、それを余計な負担に感じる必要もない。新年度の準備として、サーバーを操作したり、業務アプリケーションの設定をしたり、ユーザーの追加・削除といったタスクを実行する必要があるのだから、その作業項目の中に、上記の見落としがちなポイントの対策を組み込んでおけばいい。

 例えば、SQL Server 2005の対策であれば、業務アプリケーションの設定をするときにデータベースの種類やバージョンチェックを実行すればいいし、クライアントパソコンに各種ソフトウェアをインストールしてユーザーへ配布する準備をするときに、各アプリケーションがSQL Server 2005 Express Editionを使っているかどうかをチェックすれば済む。

 可能であれば、サーバーの棚卸しを実施し、そもそもサーバー社内に何台のサーバーが存在し、それぞれを何の目的で使っているのか、どのようなアプリケーションがインストールされているのかなども記録しておくと、漏れなく対策できるうえ、今後の対策も楽になるだろう。場合によっては、見逃していたWindows XPやWindows Server 2003が見つかる可能性もある。

 一方、Windows ServerのCALは、Active Directoryにユーザーを追加するタイミングで、現状のユーザー数(もしくはパソコン台数)を確認し、適切な数のCALがサーバーに登録されているかどうかを確認して、不足していれば追加で購入すればいい。こちらの対策は購入するだけなので簡単だ。

この機会に、SQL Serverの利用の有無や、CALのライセンス数などをチェックしよう!

今すぐアクションを

 このように、今年の新年度準備では、SQL Server 2005とCALのチェックという2つのポイントを追加することが大切だが、もちろんチェックするだけでなく、具体的な対策が必要だ。

 例えば、現状、業務に不可欠なアプリケーションがSQL Server 2005で動作していることが判明した場合、SQL Server 2014などの最新バージョンに移行したり、Windows Azureなどのクラウドサービス上のデータベースに移行したりしなければならない。

 しかし、これには相応の期間とコストが必要になる。このため、業務アプリケーションなど、大きな部分のデータベースだけは先行してチェックを実施し(もしくはチェックまで含めて)、なるべく早く、以下のようなSQL Serverの移行を手がけるSIerに相談することをおすすめする。

 今後、さらに期間が経過し、サポート終了間際、もしくはサポート終了後ともなれば、SIerのスケジュールを押さえることも難しくなるうえ、費用も余計にかさむ可能性が高くなる。

 大切なことは、今のタイミングを逃さないことだ。迷っている時間がもったいないので、とにかく今すぐ行動を開始することをおすすめする。

(協力:日本マイクロソフト株式会社)

(清水 理史)