特別企画

セキュリティーを損ねずにファイル管理をクラウド化 ビジネス特化の「Druva」とは

 前回、前々回と、クラウド型の仮想デスクトップサービスであるDaaSについて、その仕組みやメリットに加え、DaaSにおける一般的な課題と、それを豊富な実績からスマートに解決しているNTTネオメイトの「AQStage 仮想デスクトップ」を詳しく解説してきた。

 DaaSによって、企業のIT資産にかかわる無用なコストを削減もしくは適正化できるだけでなく、デスクトップPC、ノートブック、タブレット、スマートフォンなど業務に用いられる端末の多様化と、オフィス内のフリーアドレス化や在宅勤務が許容される、いわゆる「ワークスタイルの変革」に対応しやすいことも述べた。

 中でもAQStage 仮想デスクトップであれば、DaaSが抱える信頼性やパフォーマンス、導入・運用の手間とコストの問題についても解決しており、DaaS導入において乗り越えるべきハードルは低いことは理解していただけたと思う。しかしながら企業によっては、クラウド型サービスであるDaaSの利用がセキュリティーポリシーや業務スタイルの都合上どうしても難しいというところもあるだろうし、業態として仮想デスクトップのメリットが薄い場合もあるかもしれない。

 ところが、そういった企業でも、クラウドを使わない、使えなくていい、と言ってばかりもいられなくなってきた。それはなぜだろうか。また、信頼性の高いクラウドの恩恵を受けながら業務効率を高めることができるという「AQStage クラウドデータバックアップ by Druva」が、そこにどのような役割を果たすのだろうか。

ダイバーシティとクラウドの密接な関係

 ここで、いったんクラウドや仮想デスクトップから話を変えよう。昨今はグローバル化、ビッグデータ、人工知能といった言葉を目にしない日はほとんどないほどだが、ビジネスにおいてこれらに共通している狙いは、誤解を恐れずに一言で言えば、「ダイバーシティ(多様性)への対応」である。

 例えば販売業において、国や地域特有の事情を考慮しながら、あらゆる顧客の基礎情報・趣味・嗜好・購買行動などをビッグデータとして管理し、それを統計的に分析したり人工知能技術によって解析することで、顧客の「次」の行動を予測してビジネスの手法や環境を最適化し売上を最大化するというような取り組みは、すでに始まっている。

 これまでは性別や年代で大まかにカテゴライズするか、顧客自らが申告した情報を参考にして、その人にマッチするであろう商品やサービスを提示することしかできなかったところ、ビッグデータの概念や人工知能技術の登場によって、顧客ごとに高度にパーソナライズしたうえでリコメンドが可能になりつつあるのだ。

 こうした取り組みで顧客満足度を向上させるにあたっては、ソフトウェア面の充実や改善のみでは対処できない。マーケティングにおけるオムニチャネルという概念にも見られたように、例えば店舗に止まらず、人、倉庫、流通といったハードウェア面も含めた、横断的な、全方位における改善、再構築がキーポイントとなっていた。

 ずいぶんと話が遠回りしてしまったが、要は「ダイバーシティへの対応のために、社内のすべてのリソースを有効活用しよう」ということである。簡単な例で言うと、もしかするとほかの部署で当たり前にこなしているルーチンワークのノウハウが、実は別の部署で悩んでいる問題解決のカンフル剤であったりするかもしれないし、顧客の本当に望んでいるサービスが、別の部署で扱っている商品だったりするかもしれない。

 これらは、大昔からおそらく多くの企業において「社内でいかに情報共有するか」という永遠の課題とされてきたデータマネジメントの事例そのものである。最近ではこれを「データガバナンス」と呼び、ビジネスを発展させていくうえであらためてデータガバナンスを強化することの重要性が叫ばれている。そのデータガバナンスの強化に、昨今のクラウド化が有効に作用すると考えられ始めているのだ。

効率的なバックアップで端末トラブルにも強い

 さて、ここからようやく「AQStage クラウドデータバックアップ by Druva」(以下、Druva)の話ができる。Druvaは、米Druvaが開発し、NTTネオメイトが日本市場向けにカスタマイズして提供している、クラウド型のデータバックアップ・共有ソリューションだ。仮想デスクトップなどNTTネオメイトのほかのサービスとは別に単体で契約、導入可能となっている。

 Druvaで可能なことは多いが、そのうちの代表的な1つは、PC、タブレット、スマートフォンなどさまざまな端末上で、ファイルをクラウドサーバーに保管する機能だ。ファイルのバックアップ・アップロード処理などは専用の常駐型エージェントアプリによって行われ、通信経路やデータ自体は暗号化した状態でやりとりされる。国内リージョンのAmazon Web Services(AWS)をバックボーンに、セキュリティー上の安全性だけでなく、安定性、信頼性も担保されたうえで運用できる。

Druvaのシステム構成

 バックアップ処理はファイル全体ではなく、データのブロックレベルで重複チェックが行われ、変更が見つかった部分のみ転送する形。もちろん同一のデータは端末をまたがって重複チェックが行われるので、余計なネットワークトラフィックを増やすことがない。

 ビジネスにおけるバックアップ機能の重要性は、もはや語る必要はないだろう。ただ、なぜクラウドにバックアップする必要があるのだろうか。社内LANに構築したファイルサーバーなどでも十分に機能するのではないか。

 同社プラットフォームサービス推進部の能田氏は、「データバックアップの仕組みが社内にあっても、作成したファイルをローカルPCに保存するだけで、結局はファイルサーバーにないデータも多い」と明かす。DruvaはローカルPC内のすべてのファイルを自動でバックアップでき、漏れが発生することがない。また、さまざまな端末上で共通のインターフェイスで利用できるメリットもある。

プラットフォームサービス推進部の能田雄規氏

全バックアップにより、不正や漏えいを確実に防ぐ工夫

 しかし、単に端末内のファイルをバックアップできるようにしただけでは、ガバナンス強化とは言えない。企業にとって重要機密であるデータを適切な社内ルールや法制度にのっとって管理し、万が一の漏えいの可能性を極小としながら、社内の横連携を深める、すなわち社内リソースを最大限活用可能なデータ・情報共有の仕組みも実現できなくてはならない。

 まずガバナンス強化を支援するものとしては、企業として最も気になるであろう従業員の“不正なファイルの作成・持ち出し”を自動検知する機能がある。クラウドにバックアップされたデータを分析し、不正なファイルをユーザーが扱っていないかどうかを確認する仕組みとなっていて、例えば端末上で本来はファイルに残しておいてはいけないクレジットカードの番号を、あらかじめ決めた文字列パターンの設定に応じて検知し、管理者にアラートを通知する。将来的には、最近話題に上ることの多いマイナンバー情報の検知などにも対応するとしている。

 当然ながら、もしそのような不正なファイルが見つかった場合は、どのユーザーが扱っていたファイルなのかをチェックでき、さらにそのファイルをユーザーが使用できないようリモートからロックすることも可能だ。

従業員の所持している情報を管理者により一元解析できる

 バックアップデータの履歴情報もクラウド上に残っており、過去の状態のデータにさかのぼって復旧することが可能だ。故障や紛失で端末が利用できなくなってしまっても、クラウド上に直前のデータのすべてのバックアップが存在しているため、別の新しい端末に素早く復元して通常業務に戻ることができる。

 端末時に心配なセキュリティーも確保されている。管理画面から位置追跡が可能なほか、リモートワイプ機能によって端末内のデータを消去し漏えいを不可能にする。そもそも端末から取り出したデータは暗号化されているため判読できず、さらにオートワイプ機能も用意されており、管理者が設定した期間通信ができなくなった際は、自動でデータを消去する設定も行える。効果的な情報漏えい対策が施されていると言えるだろう。

クラウド上に直前のデータのバックアップが存在しているため、端末を紛失しても復旧が容易だ

 このように従来はローカルPCに残されるだけで表立つことのなかった個々人のPCの使い方まで、Druvaは会社としてはっきりと見える化する。ユーザーの手の届かないシチュエーションでもリモートからデータ消去などの操作が可能で、情報漏えいを防止できるのはもちろんのこと、従業員としても普段から社内でのPCやデータの扱い方に不安や恐れを抱くことなく仕事に集中できるのではないだろうか。

一般的なオンラインストレージに似た使いやすい共有機能も

 Druvaはファイルの共有機能も備えている。特定のフォルダの内容を指定した1ユーザーや複数ユーザーからなるグループに対して公開、共有できるのに加え、URLリンクを生成して特定の1つまたは複数のファイルを社内外の知り合いに渡すような使い方が可能。もちろんパスワードによるアクセス制限も指定できることから、一般的なオンラインストレージサービスと同じような使い勝手で、手軽かつ確実にファイル共有を行える。

ファイルサーバーを利用する従来型のファイル共有【左】と異なり、フォルダを自動同期してファイルを共有するため、常に最新のファイルを共有できる【右】

 なお、Druvaの利用料金はID 1つあたり月額1000円(税抜)からと、こちらもリーズナブル。プラットフォームサービス推進部 ビジネスクラウド部門の前野秀彰氏によれば、DruvaとAQStage 仮想デスクトップを組み合わせた利用についても検討を進めている。「特にリンククローンと一緒に使えるか、現在検証中です」と話し、遠からぬ将来、AQStage 仮想デスクトップとDruvaが融合した、さらに進んだクラウドデスクトップソリューションが生まれる可能性もありそうだ。

プラットフォームサービス推進部 ビジネスクラウド部門の前野秀彰氏

日沼 諭史