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エクイニクス、東京第5データセンターを公開 専用ビルを活用
(2016/3/10 06:00)
エクイニクス・ジャパン株式会社(以下、エクイニクス)は、東京都江東区に、International Business Exchange(IBX)データセンターTY5を開設。2016年3月1日から稼働をはじめたのにあわせて、報道関係者に内部の様子を公開した。
約43億円を投資して開設したTY5は、Equinixとして全世界で145番目のデータセンター。新設したデータセンター専用ビルに、5078.63平方メートルの総床面積を持ち、最大3.4MWのIT向け電力容量を実現。開設時には350ラックでスタートし、第2フェーズでは725ラック規模にまだ拡張する。24時間365日の有人対応と映像監視システム、生体認証などの採用によるセキュリティ環境を実現している。
同社がデーセンター専用ビルを新築で利用するのは初めてのこと。4階建てで、CFT構造の鉄骨造りとなっている。電源構成は、A系/B系冗長構成による電源供給となっており、1相200V、1相100V、3相200V、DC-48Vの電源を供給。N+1構成のガスタービン発電機を採用。供給時間はフル負荷状況で48時間を達成。設計PUEは1.5としている。
同社では、TY3を2011年6月に東京都江東区に開設しているが、TY5はTY3に隣接した場所に設置され、100メートルの距離にある2つのデータセンター間に専用ダークファイバーを敷設しており、直接接続での一体運用を行えるのが特徴。ほぼ満床となったTY3を拡張する形で、TY3で確立された金融エコシステムの持続的な発展をサポートできるという。
東京証券取引所や東京商品取引所にも近い立地であることから、金融サービス事業者に対して、安定した低遅延の接続を提供でき、金融サービス事業者を含む国内外の企業のほか、クラウド事業者、コンテンツプロバイダーなどの需要に対応するとのこと。
「新設するTY5により、Platform Equinixを通じて、ソフトバンク、PCCWグローバル、BT、AT&Tをはじめとする1100社以上の国内外通信業者へのアクセスを提供し、国内および多国籍企業の日本市場への参入、拡大を支援する。また、すでに60社以上の金融サービス事業者が、エクイニクスを利用しており、アジア・パシフィック地域において、より多くの企業がこのエコシステムに接続することが見込まれる」としている。
エクイニクスの古田敬社長は、「2001年、東京・平和島に最初のデータセンターを建設してから、継続的に都心エリアでの投資、拡張を行っている。TY5の土地、建物は、東武鉄道が所有しているが、当社初の専用設計データセンターであり、躯体から作り、われわれの設計を反映したものになっている。チームのコラボレーションがうまくいった建物だといえる」とアピール。
さらに、「細長い建物の形は、データセンターとしての機能を実現したもので、両側から引き込みルートを確保するなど、冗長性を持たせることができる。また、日本の通常のデータセンターに比べると余裕を持たせたラック数だ。TY3とのダークファイバー接続により拡張性という観点でもメリットがある。今回のTY5の稼働と、都内10カ所のデータセンターをダークファイバーを結ぶことで、シームレスに結んだ大江戸コネクトを実現できる」などと述べた。
加えて、「2019年には、キャパシティが足りなくなると考えており、すでにTY11の検討を開始している」という。
また米Equinix アジア・パシフィックのサミュエル・リー プレジデントは、「日本では2年おきにデータセンターを拡張しており、次のデータセンターも同様のペースでの拡張になるだろう」とした。
4階建て構造となるTY5の1階フロアは、エントランスのほか、特高電気室、常用UPS室、予備UPSおよびA系/B系EPSを設置。新築で設計したため、それぞれを別区画で配置し、冗長化することができるという。
2階は、フェーズ2で稼働させるコロケーションルームで、375ラックを導入する。3階も、コロケーションルームで、こちらが3月1日から稼働している。総ラック数は350ラックで、各種ネットワークの基幹となるMMR(ミートミールーム)1/MMR2の冗長構成で配置している。
コロケーションルームの高さは5メートルで、電源、空調空間として利用するフリーアクセスフロアが800mm。そのため有効高さは4.2メートルとなる。天井にはネットワークケーブルラダーを3段構成で配置。ファイバーケーブルなどを敷設する。
4階は、カスタマーラウンジ、カンファレンスルーム、レンタルオフィスなどを配置している。
「建物および地下タンクは、70メートルまでの場所打ちコンクリート杭を打設している。地震、津波、液状化、大雨、洪水、高潮に対する各種対策も施している」。
またEquinixのブライアン・リリーCIOは、「デジタルによる破壊が進み、それに伴い、人、場所、クラウド、データを接続するために、インターコネクションを活用するといった動きが加速している。日本では、2017年までに、84%の企業がインターコネクションを導入し、これは現在の3倍の規模となる。インターコネクションは、ネットワーク、コンテンツ、金融サービス、クラウド、エンタープライズという領域において広がりをみせており、Platform Equinixのユーザー数は、この2年間で22%増、日本ではそれを上回り38%増となっている。これにビットアイルを含めると、日本ではさらに成長率が高まる」とし、「エクイニクス自身も、ITを活用した改善を進めており、AzureのSharePointの活用において、ExchangeとExpress Routeを利用。パフォーマンスの改善などの効果が出ている」と述べた。
一方Equinixでは、ダラス、サンパウロ、シドニーにも、IBXデータセンターを開設することを発表。今回の東京でのIBXデータセンターの新設を含めて、1万8580平方メートルのデータセンターが加わり、全世界で130万平方メートルの規模になるという。また、日本におけるビットアイル、欧州におけるTelecityグローバルをグループ化したことで、2016年末までに150のデータセンターを運用する予定。
2016年1月に行ったTelecityグローバルの買収費用38億ドルを含み、2016年のデータセンター拡張投資額は45億ドルとなる。これにより、新たに7都市でのデータセンタープラットフォームの刷新が行われることになるという。
今回のTY5の新設は、ビットアイル(現:ビットアイル・エクイニクス)の買収によって、日本における拠点数が倍増した環境に、さらに大型データセンターを追加することになり、アジア・パシフィックにおける存在感をさらに高めることができるとしている。
「Equinixの売上高の55%は、米州、アジア・パシフィック、EMIAからのものである。そのなかでも、日本はビットアイルの買収もあり、重視している市場のひとつである」(Equinixのサラ・バアクCMO)。