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富士通研究所、大量画像から目的の画像を瞬時に検索する技術を開発

 株式会社富士通研究所は2日、特定機能に性能を特化させたサーバーにより、大量の画像の中から目的の画像を高速に検索する技術を開発したと発表した。汎用サーバーで検索する場合と比べ、50倍以上の高速検索が可能になるという。

 富士通研究所では、開発の背景として、企業などの現場ではプレゼンテーション資料などの図や写真を含む大量の文書が日々生成・蓄積されており、これらの中から欲しい画像を効果的に探し出して利用できれば、業務の効率向上が期待できるため、目的の画像を素早く見つけだすことができる画像検索技術が注目されていると説明。

 画像検索技術のうち、画像そのものを検索キーとして検索画像の一部に一致する画像を探し出す「部分画像検索」技術は、人の記憶や連想するイメージを新たな手掛かりに次の検索を行うなど、直感的に目的の画像を検索していくことができる。ただし、この技術は膨大な演算が必要となることが課題で、汎用のサーバーを用いると1万枚程度の画像の中から目的の画像を検索するのに1分以上の時間がかかり、多数のサーバーを用いて並列・分散処理を行うことで検索速度を向上させることはできるが、消費電力や装置コストが膨大になるという課題があったとしている。

 富士通研究所では、特定のアプリケーション領域に適したハードウェア構成と処理の最適化により、サーバーの性能を飛躍的に向上させる「ドメイン指向サーバー」の考え方に基づいて、技術を開発。部分画像検索において、従来CPUで行っていた処理のうち、大規模に並列処理が可能な演算をFPGAに高並列演算器として実装し、さらに、高い稼働率でその演算器を動作させるために、データの移動に着目して処理スケジューリングの最適化を行うことで、検索速度を飛躍的に向上させる技術を開発した。

FPGAへの部分画像検索処理の実装
処理フロー最適化の一例

 開発した技術を適用したサーバーを試作して行った検証では、サーバー1台で1万枚以上の画像データベースから、検索画像の任意の部分に一致する画像の検索を約1秒で完了でき、汎用サーバに比べて50倍以上高速に実行できることを確認。今回開発したサーバーと同等の検索速度を、汎用サーバーを複数台使用して実現した場合と比較すると、消費電力は30分の1以下に、装置体積も50分の1以下になるという。

 富士通研究所では、今回開発した高速画像検索技術を利用したシステムの開発を進め、2016年度中の実用化を目指す。さらに、画像処理だけでなく、サーバーの処理能力の向上が求められているアプリケーション領域に向けた、ドメイン指向サーバーの研究開発を進めていくとしている。

文書検索システムへの適用結果

三柳 英樹