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日立産業制御、医療事故の未然防止を支援する分析支援システム

 株式会社日立産業制御ソリューションズ(以下、日立産業制御)は13日、医療事故の未然・再発防止を支援するインシデント・アクシデント分析支援システムの販売を開始した。

インシデント・アクシデント分析支援システム プロセス図

 日立産業制御では、医療機関における失敗のうち、「実害には至らなかった失敗」であるインシデント(ヒヤリハット)の報告件数は増加傾向にあり、事故を未然に防ぐための対策立案と実行のために、失敗の大小に関わらず失敗を引き起こす真の原因を究明することが求められていると説明。一方、慌しい業務と平行しての事故報告書作成は医療従事者の負担になる場合が多く、実害に至らなかったヒヤリハット情報をあらためて収集することは困難だといった課題があるとして、こうした課題に対応するため、日本国内における医療機関向け情報システムとして初めて「医療版失敗学」の原因分析手法を採用したシステムを開発した。

 システムは、院内ネットワークを活用したウェブアプリケーションで、院内であればどこでも事故報告書の作成、閲覧が可能。他病院を含む過去の事例や、ヒヤリハットの対策成功事例を参照できる仕組みとなっており、より高い精度の対策を立てやすくなっている。

 「医療版失敗学」の原因分析手法にもとづく報告書フォーマット、原因分類、分析フレームワークを活用し、報告書の入力項目を、真の原因究明につながる内容に厳選して選択制にすることなどにより、報告書作成にかかる医療現場の負担を軽減。また、真の失敗原因まで適切に掘り下げられた事例情報が収集できることで、医療安全管理者が分析から対策を講じるまでにかかる手間も大幅に軽減するとしている。

 さらに、医療従事者が報告書を作成する過程において、失敗の真の原因究明に導く仕組みを設けており、医療従事者がこの過程を繰り返すだけでも自然とリスクを見抜く力が向上し、事故の未然防止につながる行動を主体的にとれるようになるといったメリットもあると説明。システムの開発にあたっては、社会医療法人財団慈泉会相澤病院と共同で実証実験を重ね、そこで得られた実務レベルでの知見もシステムに反映したという。

 日立産業制御では、今後2年以内で100カ所の医療機関への導入を目指す。

三柳 英樹