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「NEC Cloud IaaS」を大幅強化、セキュリティや運用性などを向上させる新メニュー

 日本電気株式会社(NEC)は10日、高信頼型のクラウド基盤サービス(IaaS)「NEC Cloud IaaS」を強化すると発表した。

 NEC Cloud IaaSは、NEC神奈川データセンターを拠点に、サーバーやストレージといったITリソースをユーザーのニーズに応じて提供できるクラウド基盤サービス。安価なスタンダードサービス(STD)と、基幹業務向けのハイアベイラビリティサービス(HA)の2種類が用意されている。

 今回はまず、NEC Cloud IaaS上のデータをオブジェクトストレージに保存する際、ファイルを乱数化したうえで分割して複数のオブジェクトストレージに格納する「オブジェクトストレージ セキュアゲートウェイ」を新たに提供する。1拠点に外部からの不正アクセスが発生した場合でも、断片ファイルからの復元が不可能なため、ファイルの安全性が担保されるほか、障害や災害などで1拠点のオブジェクトストレージがアクセス不能になっても、ほかの拠点のデータから元データの復元を行えるという。オブジェクトストレージは、Amazon S3、Microsoft Azure BLOBといった他社のサービスにも対応するとのこと。価格は月額8万870円から。

 また、マイナンバーなどの重要情報を格納しているサーバーにおいて、特権IDの不正利用を防止するID&アクセス管理サービスも強化する。システムの作業担当者がファイルを対象サーバーから外部に持ち出す際に、自動で個人情報の有無を検知し、管理者の確認用画面に表示する機能を追加した。これにより、管理者の不正チェック作業の効率化が行えることに加え、作業者による内部不正を抑止する効果があるとしている。

 さらに、NEC Cloud IaaS上のシステムと、他社クラウドサービス上のシステムとのネットワーク接続を閉域網で行い、セキュアなシステム間のデータ連携を実現する「NEC パブリッククラウド接続サービス」を提供する。従来は、こうしたネットワーク接続を行おうとする場合、ユーザーが個別に通信事業者やデータセンター事業者に対して調達・構築する必要があったが、このサービスでは、NECからの一括手配が可能。構築期間を従来の約4カ月から約3週間に短縮できるという。

 提供開始は12月25日の予定で、価格は10Mbpsベストエフォートの場合、月額3万3500円から。なお、現時点ではAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureに対応する。

 このほか、ユーザーの利用するシステム全体の運用作業のうち、サービスデスク、電話通報、セルフサービスポータル操作代行、リモートオペレーションなどの作業をNECが代行する「NEC Remote Infrastructure Managementサービス」を提供する。

 NEC Cloud IaaSやハウジングサービス、オンプレミス環境、他社のクラウドサービスまで幅広くサポートしており、対象となるサーバーごとに、ライト、ミディアム、スイートの3つのプランから適したものを選び、作業項目数に応じた件数追加オプションを組み合わせることにより、最適なメニューの構成が可能とした。価格は月額3500円から。

 またNEC Cloud IaaS HAで提供する仮想サーバーのデータディスクに関して、最大IOPSを従来の1000から2500に拡張したほか、SSDタイプではさらに高速な5000にも対応している。一方、コスト重視のニーズにも対応したIOPS 400のタイプも追加した。ファイルストレージ(NAS)機能でも、複数NAS利用への対応や容量に応じた価格低減を実施。最大容量が従来比1.8倍の最大5000GBとなるNAS機能を、1テナントで最大5契約まで提供する。

 なお、これら以外にも、マルチデバイスに対応した仮想デスクトップ環境を「NEC Cloud DaaS」として提供することも発表されている。

石井 一志