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アイキューブドシステムズとMSが提携、Windows対応を強化した「CLOMO MDM」提供

CLOMO MDMのプラットフォームもAWSからMicrosoft Azureへ移行

 日本マイクロソフト株式会社は2日、エンタープライズモバイルデバイス管理(MDM)分野において、アイキューブドシステムズと提携したと発表した。

 iOS搭載デバイスのMDMサービスとして定評がある、アイキューブドシステムズの「CLOMO MDM」を、Windows対応において強化。同時に、CLOMO MDMのプラットフォームを、従来のAmazon Web Service(AWS)からMicrosoft Azureに全面移行し、Windows 10やクラウド型セキュリティソリューション「Enterprise Mobility Suite(EMS)」との相互連携を図る。

CLOMO MDMとマイクロソフトの製品・サービスが連携する

 具体的には、2015年11月から、Windows 10に対応したCLOMO MDMの提供を開始。2016年春には、EMSに連携したCLOMO MDMを提供する。2016年中には、Windows 10搭載デバイスの先進的機能に対応したCLOMO MDMの提供を開始することになる。

 さらに、時期は未定としているが、Office 365と連携したCLOMO SECURED APP's for Windows 10の提供も行うことも明らかにした。

 こうした取り組みにより、iOSやAndroidなどのモバイルデバイスに加えて、Windows搭載モバイルデバイスについても、単一のコンソール画面から管理できるようになるという。

11月からWindows 10対応のCLOMO MDMを提供。2016年春にはEMSと連携する

 CLOMO MDMでは、スマートデバイスを導入する際の情報漏えい対策、利用ルールの適用、状態の監視を、デバイス、アプリ、コンテンツに対して実現。必要な機能のみを購入するなど、導入、運用面での手軽さも持つ。2011年から4年連続で国内MDM市場ではナンバーワンの実績があり、大林組、佐賀県、東京海上日動火災保険、桐蔭学園などの大規模運用ユーザーを中心に、6000社を超える多様な企業、教育機関に採用されている。

 両社では、今回の提携により、製品開発に関する技術協力だけでなく、マーケティング、営業面においても連携する考えで、アイキューブドシステムズは、Windows搭載デバイスに対して、初年度10万ライセンスのCLOUD MDMの販売を計画。今後3年間で、WindowsおよびiOS、Androidを含む総管理デバイス数で100万台以上を見込み、国内最大級のプラットフォームサービスを目指す。

 米Microsoft インターナショナル プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏は、「モバイルファースト、クラウドファーストの技術を採用する企業こそが成長する。また、そこではパートナーシップが重要になってくる。今回の提携は、モバイルファースト、クラウドファースト時代のパートナーシップになり、変革を起こすことになる」と語った。

 また、日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「スマートデバイスが不可欠な状況となり、デバイスが劇的に増加。そのなかで、モバイルデバイスの効率のいい管理が求められている。クラウドを活用した効率的なサービス提供、新たなサービスビジネスを展開することが重視されている。またパートナーシップが重視されるなかで、これまでは競合といわれていた企業との協業や、カスタマーがパートナーになる“パストマー”といった関係も生まれている」との現状に言及。

 「さらに、クラウド環境を活用することで、国内の成功だけでなく、グローバルの成功を支援することもできる。アイキューブドシステムズは、クラウドボーンの企業であり、マイクロソフトがあまり接点がないデバイスにも対応し、それをAzureの上で展開するという点でもユニークである。今回の提携は、そうした意味でも最適なものもあり、業界にとってもインパクトの高い協業になる。今後も、モバイルファースト、クラウドファースト時代のパートナーシップを強化し、顧客の利便性に貢献したい」とした。

米Microsoft インターナショナル プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏
日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏

 一方、アイキューブドシステムズの佐々木勉社長は、「今回の提携に至った最大の理由は、Windowsの進化に伴い、それに対するMDMの要望が高まってきたことが大きい。多様なデバイスが利用されるなかで、CLOMO MDMでは、Windows 8.1への対応も図ってきた経緯があるが、Windows 10では、ADの傘下にいながらMDMで管理できるようになり、より踏み込んだものになる」と、提携の意義を説明した。

 また、「われわれはAWSの機能を十分に活用してきた企業の1社ではあるが、その一方で、AWSの機能にロックされないような中間的な機能をオープンソースで活用してきた企業でもある。マイクロソフトでは、マルチプラットフォーム対応や、コンポーネントの強化といった動きを積極化しているし、法人向けには、Power BIや機械学習機能の強化といった動きもある。さらに、安定性、信頼性という点でも、Azureに安心して移行できる準備が整ったことが背景にある」と述べ、マイクロソフトの対応を評価して、プラットフォームを移行するとした。

 IoTの広がりにより発生する大量データを有効に活用できるインフラとして、Azureが最適であるという判断も働いたという。

アイキューブドシステムズ 代表取締役社長の佐々木勉氏

 このほか「マイクロソフトが打ち出したMicrosoft Azure IoT Suiteや、Windows 10の戦略についても大きな変化を感じている。特に、Windows 10は、さまざまなデバイスに搭載されるOSであり、われわれが目指すビジョンにマッチすると考えている。今回の協業を機会に、本社がある福岡から、世界へと歩を進めたい。日本マイクロソフトの支援にも期待したい」とも述べた。

 なおアイキューブドシステムズでは、インテルとの協業強化や、VAIOとは法人向けPC分野での協業、デルとは営業活動においての協業を模索することを発表。ワンビとも製品連携を行っていく方針を明らかにした。

左から、米Microsoft インターナショナル プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏、アイキューブドシステムズの佐々木勉社長、日本マイクロソフトの平野拓也社長

【お詫びと訂正】
初出時、写真のキャプションにおいて佐々木社長と平野社長の順番を誤っておりました。お詫びして訂正いたします。

大河原 克行