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タブレット端末とクラウドで点検業務のプロセスを変革、東急ファシリティサービス

 株式会社富士通マーケティング(以下、FJM)は1日、東急ファシリティサービス株式会社が、FJMの点検業務を効率化するクラウドサービス「FUJITSU Enterprise Application AZCLOUD SaaS teraSpection」(以下、AZCLOUD SaaS teraSpection)を導入したと発表した。東京都と神奈川県にあるオフィスビルや商業施設など、約550棟の巡回点検業務を対象として、9月より本格運用を開始する。

 東急グループの不動産事業を担う東急ファシリティサービスでは、事業の中核となる「ビルマネジメント事業」において、技術者が建物を巡回し、電気や給排水設備、空調、照明などが良好に機能するよう、定期的な設備点検を実施している。しかし管理する施設数が増加してきたことに対し、現場で点検作業を行う人員の確保や育成、業務の効率化が課題になっていたという。また、施設オーナーのニーズも年々変化しており、施設管理のコストパフォーマンスを改善し、資産価値を高めるサービス品質のさらなる向上が必要とされていた。

 ただし、現場での点検作業は、メーター値や設備の視認、モーター音の確認など、機械化や自動化できる部分が少なく、点検作業自体も変えることができない。そこで、点検作業のプロセスの中でICT活用により効率化できる部分の検討を行い、2014年12月に「AZCLOUD SaaS teraSpection」の導入を決定した。

 「AZCLOUD SaaS teraSpection」では、点検内容をタブレット端末に入力することで、その入力値がそのまま報告書へ出力できるほか、タブレット端末で撮影した写真の明度を自動補修し、点検場所とひもづけて保存するので、事務所に戻り、あらためて点検報告書を作成する時間が必要なくなる。さらに、モバイルプリンタを業務車両に搭載し、現場で点検報告書を印刷可能にしたため、現場と事務所との移動時間を短縮し、効率的な巡回を実現した。設備故障などによる緊急を要する依頼に対しても、クラウドに保存された設備情報や過去の点検履歴データをタブレット端末で参照できることから、素早い対応が可能になる。

 また点検場所は、施設のフロアごとの平面図に位置表示され、初めて訪問する物件でも漏れなく、効率よく巡回できるとのこと。点検項目についても、点検場所ごとに必要な項目が表示され、入力漏れにはアラームメッセージの表示で対応する。あわせて、正常値がデフォルトで表示され、異常値への気づきを促す機能により、作業者の熟練度にかかわらず点検作業の品質を維持できるとした。

 加えて、点検後すぐにタブレット端末を利用して、写真や点検履歴などの点検場所の状況をわかりやすく説明できることから、今後の保守や設備交換の時期といった、施設の価値を高める改善提案を行える点もメリットとしている。

 東急ファシリティサービスでは今後、このソリューションの管理対象を順次拡大していく計画で、施設常駐型の点検業務や検針業務など利用範囲を拡大するとともに、ほかの事業への適用も検討し、さらなるサービス品質の向上を図るとのことだ。

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石井 一志