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メモリキャッシュでVDIを高速化、北日本放送が「PernixData FVP」を導入

ピーク時のスループットは50倍以上も改善

 株式会社ネットワールドは24日、株式会社北日本放送が、仮想デスクトップ基盤(VDI)環境の性能改善のため、ネットワールドが扱う米PernixDataのストレージ高速化プラットフォームの最新版「PernixData FVP」を導入したと発表した。

 北日本放送では、Windows 7へのリプレースを機に、運用管理工数を大幅削減とワークスタイル変革を目的として、2011年からVDI環境構築に着手。40台からスタートした台数は年々拡大し、現在では約180台の仮想デスクトップが稼働している。これらは、基幹業務システムや番組編成業務用システム、制作部門の情報共有基盤などの重要業務にも活用されているものの、環境が大規模化するにつれ、業務システムの応答が遅い、日本語入力システムがうまく動作しないといった、レスポンス低下が問題になっていたという。

 そこで同社では、PernixData FVPを導入し、性能改善に取り組んだ。同製品は、VMwareのハイパーバイザー内にカーネルモジュールとしてインストールし、サーバーに搭載された高速なメディアをキャッシュ化して、既存ストレージのI/O性能、レスポンスタイムを高めるソフトウェア。まずは数台の仮想デスクトップを対象にテストを行ったが、その結果、快適に業務が行えることが実証されたことから、全社展開に向けて適用台数を順次増やしていったという。

 実際の展開にあたっては、既設のサーバーの構成上、フラッシュデバイスを増設することが難しかったため、メモリを利用して高速化を図る「DFTM」(Distributed Fault Tolerant Memory:分散冗長性メモリ)機能を採用した。5台のVDI用物理サーバーに、それぞれ24~70GBのメモリを追加しただけで、既存のストレージシステムをそのまま利用しながら、く高速化を達成できたとのことで、以前の環境と比較し、レイテンシは約100倍、ピーク時のスループットは50倍以上もそれぞれ改善した。

 導入後に実施した調査では、直近の2週間で8.87億回のリードと4.51億回のライトをPernixData FVPのキャッシュ上で処理し、導入後の3カ月の総計で20TBのSANネットワーク帯域を削減したという。

 さらに、FVPの調整型ネットワーク圧縮機能「adoptive network compression」によって、冗長化のためのホスト間ネットワークの帯域も320GB削減された。また最新版のPernixData FVP 2.5に搭載された調整型メモリ圧縮機能「DFTM-Z」を活用し、192GBのキャッシュ領域内に220GB以上のキャッシュデータを保持しており、この値は今なお増加し続けている。

 これらの機能を有効に活用した結果、北日本放送では、従来は物理PCで動作させていた、PhotoShopやIllustratorなど負荷の高いアプリケーションも、問題なくVDI環境で稼働できるようになっているとのこと。

 なお同社では、PernixData FVPの管理ツールはVDI環境の稼働状況を可視化できることから、今後、インフラの改善にも役立てる計画だ。

石井 一志