ニュース

米BoxとNTT Com、閉域網でBoxを利用できる「Box over VPN」を年内に提供

 米BoxとNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は16日、NTT Comの企業向けネットワークサービスとBoxのクラウドサービスを組み合わせた「Box over VPN powered by NTT Communications(以下、Box over VPN)」を共同で開発し、NTT Comが提供することで合意したと発表した。サービスは2015年内に提供開始予定。

「Box over VPN」を2015年内に提供予定

 「Box over VPN」は、NTT Comが提供する企業向けネットワークサービス「Arcstar Universal One」により、Boxのサービスをセキュアな閉域網で利用できるサービス。インターネット環境とは切り離されたネットワークをデータが通るため、インターネット上での重要情報の盗聴や漏えいの心配がなく、官公庁や地方自治体、金融機関など、厳格なセキュリティポリシーを持つ組織に向けたサービスとして提供する。

 NTT Comが「Box over VPN」のネットワークを常時監視し、トラブル時の対応やサポートデスクなど、Boxのサービスを含む一元保守対応を提供。NTT Comが同様に閉域網内で提供している「Salesforce over VPN」などのSaaSや、顧客企業のオンプレミスシステム、NTT Comのクラウドサービスなどとの、閉域網内での連携サービスも提供する。

 サービス提供プランと料金(税別)は、「Business」プランが1IDにつき月額2400円から、「Enterprise」プランが1IDにつき月額4980円から。Businessプランは社外ユーザーライセンスが有償、他SaaS連携が1連携まで。Enterpriseプランは社外ユーザーライセンスが無料、他SaaS連携が無制限、セキュリティレポート(利用ログなど)の発行も行われる。

閉域網内でのBoxの利用を可能に
NTT Comがワンストップサービスを提供
閉域網内での他システムとの連携も提供
提供プランおよび料金(予定)

 NTT Comの代表取締役副社長の庄司哲也氏は、「Box over VPNの提供は、日本においてはNTT Comが唯一で、アジアでも初となる。NTT Comでは、Salesforceとの閉域網接続サービスを提供しており、Microsoft AzureやAmazon Web Servicesとの接続も発表しているが、さらにBoxが加わることで、よりマルチでセキュアなクラウド環境を企業に提供していく」と語った。

 Boxの共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏は、「NTT Comとは1年半ほど前から提携に向けて話を進めてきた。今回の提携により、Boxのパワーをさらに多くの企業に提供できることを嬉しく思う」とコメント。Boxでは、セキュアなコンテンツマネージメントとコラボレーションのための次世代プラットフォームを開発することにフォーカスしており、Boxが提供する強力な機能を日本の企業にも活用してほしいとした。

 NTT Comのアプリケーション&コンテンツサービス部長の菅原英宗氏は、日本の企業がパブリッククラウドサービスを利用しない理由として、「情報漏えいなどのセキュリティが心配」を挙げた企業が最も多かったという調査結果を紹介し、日本企業は運用コスト以上にセキュリティを重視していると説明。こうした企業に対して、Box over VPNではセキュアな閉域網でBoxの利用を可能にするとともに、将来的な予定としては、モバイル端末からのセキュアなアクセス環境についても整えていきたいとした。

 Box日本法人の株式会社ボックスジャパン代表取締役社長の古市克典氏は、クラウドサービスの中でも「同期・共有ベースの分散型モデル」ではデータが各端末に分散してしまうため、企業が利用する上ではセキュリティ面で不安があると説明。Boxでは、すべてのデータをクラウド上に集中させて利用することが可能で、外部からの攻撃の防御やアクセス制限、ダウンロード制限、ユーザーのアクセス監視、データバックアップといったセキュリティ機能が提供されるため、利用することで企業のセキュリティは高まるサービスだとした。また、Boxへのアクセスについても暗号化を施しているが、さらに閉域網での接続を提供することで、より安全を求める企業や組織にもサービスを利用してもらいたいと語った。

(左から)ボックスジャパンの古市克典氏、Boxのアーロン・レヴィ氏、NTT Comの庄司哲也氏、菅原英宗氏

三柳 英樹