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シマンテック事業戦略、「ユニファイドセキュリティ戦略で統合ソリューションを提供する」
(2015/5/22 06:00)
株式会社シマンテックは21日、新年度に向けた事業戦略説明会を開催。同社が今後「ユニファイドセキュリティ戦略」を掲げ、統合的なソリューションを提供していく方針を示した。
シマンテック 代表取締役社長の関屋剛氏は、「これまで企業は、エンドポイントやネットワークなどそれぞれのポイントソリューションを採用し、自社のコストでインテグレーションする方式をとっていた。今後はシマンテックがこれらをまとめた統合ソリューションとして提供できる体制に持っていく」と、ユニファイドセキュリティ戦略について説明した。
同戦略の下、シマンテックでは、分析プラットフォーム、脅威防止、情報保護、サイバーセキュリティサービスといった分野を中心にソリューションを展開していくという。
まず分析プラットフォームとしては、さまざまな脅威データを持っているのがシマンテックの強みだとし、「ビッグデータ分析による脅威対策ができる」とアピール。また、この分野で新たに提供する予定のアプリケーションとして、リスク分析とベンチマークが可能なアプリケーション「SymGauge」を紹介した。
SymGaugeは、今まで見えなかった世界の競合他社と自社のセキュリティレベルが比較できるもので、「同じ業界の中で、自社のセキュリティ対策が進んでいるのか遅れているのか把握できる」と関屋氏。将来的には、パートナーがSymGaugeを活用した独自アプリケーションを開発できるようなSDKも提供する予定だという。
脅威防止については、「これまでは脅威の予測、防御、検知、対応といったサイクルの中で、主に防御に力を入れていたが、今後はいかに短期間で脅威を検知し、原因を追及して通常業務に回復するかがより重要になる」と関屋氏は述べ、これらのプロセスを自動化するアプローチを進めたいとした。
その中で、APTのコンポーネントとして、クラウド型脅威検出エンジン「Cynic」やクラウド型相関分析エンジン「Synapse」を提供するほか、各コントロールポイントを単一プラットフォームで管理できるようにする。また、次世代フォレンジックで攻撃元や影響範囲をビジュアル化することや、クラウドからオンプレミスまですべてのサーバー環境が保護できるような技術も提供するという。
情報保護については、「クラウド上のデータが増大し、モバイルユーザーも増加しているため、クラウドとモバイルにまたがる情報の保護が重要になる」と関屋氏。そこで、Salesforce.comやOffice 365といった主要なSaaSと連携し、クラウドサービスを利用する上で必要な情報保護や認証、ID管理、行動分析などが可能となる「Cloud Security Broker」を提供するとのこと。
サイバーセキュリティサービスでは、従来のモニタリングサービスに加え、プロアクティブなサービスとしてセキュリティイベントを分析するサービスや、インシデント発生時の原因究明や対策、フォレンジックを行うサービス、さらには人材育成のサービスを提供していくという。
Symantec アジア太平洋/日本地域セールス シニア・バイス・プレジデントのSanjay Rohatgi(サンジェイ・ロハトギ)氏は、「さまざまな脅威が出現する中、シマンテックはまさに最適なタイミングで最適な位置付けにいる。日本はアジアパシフィック地域の中でも特にセキュリティへの投資額が大きく、シマンテックにとって非常に重要な市場だ。今後も日本の顧客により安全な環境を提供していきたい」とした。
なお、シマンテックでは、2014年10月にバックアップリカバリ分野を扱う部門を分社化すると発表。分社化後の同部門の新たな社名はVeritas Technologiesとなる予定で、2004年にVeritas Softwareとして買収した企業が復活する形となる。
シマンテックはセキュリティに特化する企業へと戻るが、この分社化について米Symantec エグゼクティブバイスプレジデント ワールドワイドセールスのAdrian Jones(エイドリアン・ジョーンズ)氏は、「バックアップリカバリとセキュリティという、2つの成長分野にそれぞれフォーカスする環境ができた。これにより、エンジニアリングや研究開発、営業などの人員に対するコスト効率も高まるだろう。今後シマンテックでは、日々巧妙化するサイバー攻撃への対処により注力していく」と述べた。