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Pivotalジャパン、ビッグデータ基盤製品のスイートを提供

製品コンポーネントは順次オープンソース化へ

 Pivotalジャパン株式会社は12日、ビッグデータ分析基盤を構築・運用するための製品スイート「Pivotal Big Data Suite」を、国内でも販売開始すると発表した。

 Pivotal Big Data Suiteは、ビッグデータ基盤を実現するための統合パッケージ。Hadoopディストリビューションの「Pivotal HD」を中核に、大規模並列処理データウェアハウス(DWH)の「Pivotal Greenplum Database」、SQL on Hadoop分析エンジン「Pivotal HAWQ」、インメモリNoSQLデータベース「Pivotal GemFire」、メッセージキューイングミドルウェア「RabbitMQ」、KVS「Redis」といった製品をまとめて提供する。

 また、オープンクラウドプラットフォーム「Cloud Foundry」の商用版「Pivotal Cloud Foundry」も含まれており、Pivotal HD、HAWQ、RabbitMQ、Redis、Spring XD(ベータ)などをPivotal Cloud Foundry上で動作させることができる。ライセンスはサブスクリプション方式で提供され、コア数に応じて課金される仕組み。価格は個別見積もりとなる。

Pivotal Big Data Suite

 またPivotalジャパンでは、Pivotal Big Data Suiteに含まれる製品を段階的にオープンソースソフトウェア(OSS)として提供することも発表した。まず、Pivotal GemFireを2015年第1四半期にオープンソース化するほか、2015年後半にはPivotal HAWQをOSSにする。

 この方針について、技術統括部 テクニカルディレクターの仲田聰氏は、「ソフトウェアでは、まずはエコシステムを作ることが重要なため、オープンソースでコミュニティを作り、賛同者を得て製品化という流れが多くなってきたから。当社では、Cloud Foundryで同じような施策をとっており、そのビジネスモデルをビッグデータ領域にも、ということだ。OSSにすることで、ベンダーロックインも避けられる」と説明。オープンソースになることで、競合が現れる可能性はあるとしながらも、エンタープライズ版は引き続き提供し、独自機能の実装や商用サポートの提供などで差別化していく、とした。

ビッグデータ関連製品をOSS化する
技術統括部 テクニカルディレクターの仲田聰氏

 さらに、Hadoopエコシステムの標準化を図る目的で、「Open Data Platform(ODP)」を立ち上げ、共同で中核技術の開発を行っていくとのこと。また、製品互換の検証やエコシステム構築、製品ロードマップの担保、エンタープライズシステムへの適用性向上なども行う。

 仲田氏は、「ODPのコアコンポーネント(ODPコア)を定義し、共通化した上に、各社独自のソリューションが展開される形になる。例えば、今までは、あるBIツールがどのディストリビューションの上で動くかは、個別に検証しないとわからなかったが、コアの上で動くものについては、そうした検証の必要がなくなる」とコメント。ユーザー側にとってはロックインのリスクがなくなり、選択肢が広がる一方で、ベンダー側でも互いの検証の手間が少なくなるとした。仲田氏によれば、新しいPivotal HDはODPコアベースになるそうで、2015年第2四半期をメドに提供される予定。

 特にHortonworksとは戦略的提携を進める考えで、Pivotal HDの開発およびエンハンスメントを共同で推進する。これにより、Hortonworks Data PlatformへのPivotal Big Data Suiteの展開が可能になり、顧客に対してメリットを提供できるとのこと。まずは、Pivotal HAWQから展開される。

Hadoopエコシステムの標準化
Hortonworksと戦略的提携

 なお、カントリー・マネージャーの正井拓己氏によれば、Pivotalジャパンが柱とする「ビッグデータ」「クラウド」「アジャイル開発」のうち、2013年は国内ビジネスのほとんどがビッグデータ関連だったのに対し、2014年はビッグデータと他の2つが半々、といった割合に変化したとのこと。

 「当社は、ビッグデータを主軸とした企業から、トータルソリューションの企業へと確実にシフトしつつある」とした正井氏は、昨年に初出荷されたPivotal Cloud Foundryがすでに複数の実績をあげたこと、今まではスタートアップやインターネットカンパニーが中心だったアジャイル開発も、一般企業での需要が急激に立ち上がり、2014年は売り上げの9割をエンタープライズから上げたことを紹介。「これまでのビッグデータ中心から総合提案へとシフトしていく」と述べた。

 このうちアジャイル開発の分野では、アジャイル開発チーム「Pivotal Labs」の拠点を日本にも設置する予定としており、いっそうの拡大を図る。

カントリー・マネージャーの正井拓己氏
2015年の戦略領域

石井 一志