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Pivotal日本法人が発足、“第3のプラットフォーム”でナンバーワンを目指す

Pivotalジャパンのカントリー・マネージャー、正井拓己氏

 Pivotalジャパン株式会社は1日、米Pivotalの日本法人として設立され、営業を開始したと発表した。

 Pivotalは、米EMCと米VMwareが出資して4月に設立された企業。クラウド、ソーシャル、ビッグデータ、モバイルといった、いわゆる“第3のプラットフォーム”への転換が進む中で、「そうした次世代プラットフォームの新たなテクノロジー、製品を市場へ届け、エンタープライズをサポートする」(Pivotalジャパンのカントリー・マネージャー、正井拓己氏)ために活動を進めていくという。

 すでに、Greenplum、SpringSource、Cloud Foundry、GemFireなど、EMCとVMwareがかかえる関連部門がPivotalへ移籍し、新しい会社のもとでビジネスを継続している。従業員数は、ワールドワイドでは約1250名、日本法人は13名。事業規模としては、2013年3億ドル、2017年10億ドルの売り上げを見込む。

4月にEMCとVMwareにより設立されたPivotal。その後GEからも出資を受けた
日本法人の会社概要
Pivotalのプロダクト・マーケティング&マネージメント担当バイスプレジデント、ジョッシュ・クラー氏

 立ち上がったばかりとはいえ、すでにさまざまな製品やサービスを持つPivotalだが、同社ではこれらを3つに分けて説明する。

 1つ目の「データ・ファブリック」は、データウェアハウス製品のGreenplum Database、HadoopディストリビューションのPivotal HD、インメモリデータベースのGemFireなどが含まれる領域。

 Pivotalでは、ビッグデータだけでなく、例えば、さまざまなセンサーから送られてくる大量のデータをリアルタイムに処理する「ファストデータ」についても今後ニーズが拡大すると想定しており、これらを処理するプラットフォームとしても、この領域は非常に重要になる。

 Pivotalのプロダクト・マーケティング&マネージメント担当バイスプレジデント、ジョッシュ・クラー氏は、Pivotal HDで提供される次世代クエリエンジン「HAWQ」を紹介し、「HIVEとの比較では50倍から500倍、競合の商用製品と比べても20倍程度高速だ」とし、自社製品の強みを訴えた。

データ・ファブリック

 2つ目の「アプリケーション・ファブリック」は、迅速にアプリケーションを開発・展開できるように支援する部分で、Spring FrameworkやSpring tc Server、メッセージキューイングミドルウェアのRabbitMQなどを組み合わせて提供していく。正井氏は、「ファストデータの需要が本格的に出てくると、新しいアプリケーションの開発、運用要件が求められるようになる。そこに応えられるソリューションを届けるのが役目だ」とした。

 また3つ目の「クラウド・ファブリック」では、オープンソースPaaS基盤ソフトのCloud Foundryを中心に据え、エンタープライズ向けの次世代プラットフォームを提供するとのこと。「パブリック、プライベート、ハイブリッドの各クラウド環境でも、可搬性とスケーラビリティのあるプラットフォームを提供できる」(正井氏)

アプリケーション・ファブリック
クラウド・ファブリック

 なお、これらの製品は単独でも提供されるが、統合製品であるPivotal Oneも2013年第4四半期より提供される見込み。最初に提供される中には、Spring Framework、tc Server、Pivotal HD、Cloud Foundryなどが統合され、以降、GemFireなどほかの製品についても統合を進めるとした。

 「これまで、データを中心としたアプリケーション開発は、Yahoo!のようなコンシューマのインターネット企業が取り組んできた。しかし当社では、大量データの保管と活用が可能な基盤、迅速なアプリケーション開発、レガシーシステムとの連携といった要件を満たしたソリューションにより、エンタープライズへ軸足を置いた形で提供する」(クラー氏)。

石井 一志