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クックパッドとアマゾンが社食でコラボ――AWSが支える人気レシピとは?

アマゾン ジャパン本社内の社員食堂「A2Z」

 Amazon Web Services(AWS、日本法人:アマゾン データ サービス ジャパン)が提供するクラウドサービスを、2011年から採用しているクックパッド。日本では初期に導入したこともあり、国内でのAWS浸透に貢献してきたユーザーともいえる。

 そんなクックパッドの人気レシピがどれほどおいしいのか、AWSユーザーとしてアマゾン データ サービス ジャパンおよびアマゾン ジャパンの社員に味わってもらいたいというクックパッドの思いと、AWSのユーザーのことをアマゾングループ社員に知ってもらいたいというアマゾン側の思いが合致した。両社は9月第1週、アマゾン ジャパン本社内の社員食堂「A2Z」にて、クックパッドの人気レシピを社食メニューにて提供するというコラボイベントを開催している。

期待を裏切らないクックパッドの人気レシピ

 今回A2Zで提供されるクックパッドのメニューは以下の通り。これは、まず「うどん」「丼」「スムージー」というテーマでcookpad.com内を検索し、上位5品目の人気メニューを選択。さらにその人気メニューの中からアマゾングループ社員が投票し、うどんと丼のそれぞれ上位2品目と、スムージーで1位となった品目が選ばれた。

月・水・金に提供されるメニュー
絶品簡単激うましらす丼
とろうま!鶏肉と大根おろしのうどん♪

火・木に提供されるメニュー
お寿司やさん直伝!丼に♪マグロのづけ
ゴマ油香る☆シンプル焼きうどん

月~金を通じて提供されるスムージー
朝の簡単グリーンスムージー

 このほか、小鉢として「お弁当に じゃが丸コーン」、「グリルズッキーニとトマトのマリネサラダ」、「じゃがいもといんげんのにんにく醤油炒め♪」、「旬!ズッキーニdeツナ味噌チーズ焼き」も用意。食堂内にはそれぞれのメニューのレシピも掲載されている。

 取材日当日は水曜日で、筆者も「絶品簡単激うましらす丼」と「とろうま!鶏肉と大根おろしのうどん♪」、さらにはスムージーや小鉢の試食にありつくことができた。

「絶品簡単激うましらす丼」
「とろうま!鶏肉と大根おろしのうどん♪」、本当にとろうまです

 しらす丼は、豊富にちりばめられたしらすと卵の黄身が食欲をそそるが、その味も期待を裏切らない。レシピを見ると非常にシンプルな味付けながらも、ごま油としらすの相性の良さに改めて気づかされる一品だ。そしてうどんも、大根おろしと鶏肉が絶妙なとろみを生み出しており、うどんを一気に贅沢なメニューへとランクアップさせる仕上がりとなっている。

 その他、小鉢として提供されていたそれぞれのメニューも、通常の社食では決してお目にかかれそうにないアイデア満載の品で、特に「お弁当に じゃが丸コーン」や「グリルズッキーニとトマトのマリネサラダ」などは、まるで高級フレンチレストランで前菜を食しているような気分にさせてくれた。

小鉢メニューも少しずつ試食。ごちそうさまでした

バレンタインデーを乗り切るためにAWSへ

クックパッド インフラストラクチャー部 部長の成田一生氏

 さて、食レポはこのへんでおしまいにして、クックパッドがAWSを採用するに至った経緯についてもレポートしておこう。クックパッド インフラストラクチャー部 部長の成田一生氏によると、同社のサービスは毎年バレンタインデーが近づくとトラフィックが通常の倍になり、サーバーに遅延が生じるなどトラブルが発生していたという。「ピーク時にあわせてサーバーを増設していたが、平常時との差が大きく設備投資が過剰になり気味だった。そこで、必要に応じて使った分だけ支払うことのできるAWSを利用することに決めた」と成田氏は説明する。導入後は自動的に容量の増減が可能なAutoScale機能(社内で実装)を活用、バレンタインデー時にサーバーがダウンする心配もなくなったという。

 また、クックパッドでは次々と新規サービスを開発しており、サービスのリリーススピードに合うインフラが必要だった。AWSを選択したのは、「短期間で大量のサーバーが準備できることも大きかった」としている。

 現在クックパッドでは、動画配信でもAWSの機能を利用しているほか、食品メーカーなどに向けてクックパッドユーザーの検索動向をデータで提供するサービス「たべみる」において、AWSのデータウェアハウスサービス「Amazon Redshift」も活用している。また、現在一部で利用しているマネージド型NoSQLデータベースサービス「Amazon DynamoDB」の利用用途を拡大することも検討中だ。

 業務システムもほぼすべてをAWSに集約しているという。成田氏は、「まずはすべてにおいてAWSを利用する方向で検討し、ニーズにマッチしない場合のみ自社で運用することにしている」と説明する。クックパッドでは社内にインフラエンジニアが4人しかいないため、クラウドが活用できる部分はすべて活用しなければリソース的にも負担が大きいという事情もあるのだ。

 クラウドを採用するにあたって、他社のサービスは検討しなかったのだろうか。成田氏は、「これまでのところ、AWSに勝るサービスは見つかっていない」と話す。「グーグルにも注目はしているが、まだAWSから乗り換えられるレベルにはない。AWSからは次々と新しいサービスが出てきており、またそのサービスが東京リージョンで使えるようになるまでのスピードも速い」と成田氏は述べ、現在のサービスに満足しているとした。

 両社のコラボレーションは、今後もしばらく続きそうである。

沙倉 芽生