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NEC、エンタープライズ向けSDN事業を強化~SDN Ready機器やオーバーレイ製品などを提供
(2014/8/28 06:00)
日本電気株式会社(以下、NEC)は27日、ソフトウェアでネットワークを制御するSDN(Software Defined Networking)市場において、エンタープライズ市場向けの事業を強化すると発表した。オーバーレイ方式のSDNソフト製品群を提供するほか、既存技術を利用したネットワーク製品をSDNに対応させる「SDN Ready」製品などを順次提供開始する。
NECでは、早期からSDNアーキテクチャやOpenFlowプロトコルの研究開発に参画しており、OpenFlow技術を用いてネットワークを柔軟に制御できるようにするプログラマブルフロー製品「UNIVERGE PFシリーズ」などをいち早く製品化してきた。また2013年7月には、SDNソリューション「NEC SDN Solutions」をグローバルで体系化し、さまざまな分野で製品・ソリューションを提供している。
NECの執行役員、福田公彦氏は「ネットワークの見える化によって運用性・保守性が向上するのに加えて、新サービス立ち上げまでの時間を短縮したり、迅速な拠点立ち上げを可能にしたり、といった効果が得られるなど、売り上げを伸ばすにあたって、SDNが大きな効果があることがわかってきた。NECの思っていた以上のメリットをお客さまが感じている」と指摘する。
しかしその一方で、NECの独自技術でベンダーロックされてしまわないか、既存のネットワーク投資が無駄になるのではないか、部分的な導入で効果を見ることはできないか、といったSDNへの不安の声があるとのこと。そこで、こうした不安を払しょくし、SDNを安心して導入検討してもらうための施策を、大きく4つ新たに実施することにしたという。
1つ目は、従来のネットワーク機器として使いながらも、必要になった場合にはSDN機能を有効化し、SDN対応のネットワーク環境を容易に導入できる「SDN Ready」製品の投入だ。NECではまず、すでに合計100万台規模の導入実績があるWANアクセスルータ「UNIVERGE IXシリーズ」と企業向けLANスイッチ「UNIVERGE QXシリーズ」をSDNに対応させる。
これらの製品を導入するユーザーは、必要になった時点でSDNコントローラを追加導入すれば、SDN環境へスムーズに移行できるという。その第1弾として、UNIVERGE QXシリーズの3製品をSDNに対応させ、8月27日より提供開始するとともに、9月にも、SDN対応のUNIVERGE IXシリーズを製品化するとした。
2つ目として、オーバーレイ方式に対応したソフト「UNIVERGE PF6700」を提供する。これまでNECでは、プログラマブルフロー製品「UNIVERGE PFシリーズ」として、ホップ・バイ・ホップ方式の製品を提供してきたが、今回は初めてオーバーレイ方式の製品をラインアップした。
ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理の北風二郎氏は、「特に大規模なデータセンター事業者で、既存機器を有効活用しながらSDNを活用していくには、サーバー側から見た時に非常に効率的に仮想化・SDN化できるオーバーレイ製品が有効だ」と、その提供理由を説明する。製品としては、仮想環境に導入するエージェント、コントローラ、オーバーレイネットワークを既存ネットワークと接続するゲートウェイ、トンネルを通れないパケットを処理するリフレクターを用意し、仮想環境はKVMをサポートした。
価格は505万円(税別)からで、9月の提供開始を予定している。
3つ目の取り組みは、そのほか、従来のネットワークシステムとSDN環境を統合管理する「ネットワーク運用自動化ソリューション」の提供。これまでのスイッチやファイアウォール、ロードバランサーだけでなく、SDN対応のスイッチやルータもあわせて管理・制御することができる。価格は280万円(税別)からで、こちらも9月の提供開始を予定する。
最後の施策は、コンサルティングの強化。これまでは一般的なネットワークSEがSDN関連のコンサルティングなどを兼任して行ってきたが、SDN専任のSEを育成し、2014年度上半期中に100名の体制まで拡充するとした。
NECではこうした取り組みを通じて、エンタープライズ向けのSDN領域において、2014年度に200億円、2015年度には500億円の売り上げを目指す考えだ。