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現場で容易に予測モデリングできる「SAS Visual Statistics」国内提供
(2014/8/26 15:50)
SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS Japan)は26日、データから未来を予測するビジュアルモデリングソフト「SAS Visual Statistics」の国内提供を開始した。
既存のビジュアルデータ探索ソフト「SAS Visual Analytics」のオプションとして利用する。SAS Visual Analyticsが過去・現在のデータをビジュアル化するのに対して、SAS Visual Statisticsはそのデータをモデリングして未来を占うものだ。いずれも単一のプラットフォーム「In-Memory Analytics Platform」を基盤としており、共通のGUIでシームレスに利用できる。
直感的にビジネスユーザーが利用できる点が特徴で、SASはこれを“Approachable(親しみやすい) Analytics/Modeling”と呼んでいる。その上で「現在最も収益性が高いのはどの顧客か?」「顧客離反に最も関連性が高い要素を2つ挙げるとするとどれか?」などの過去・現在を可視化する“Approachable Analytics”から、「今後さらなる収益性が見込めるのはどの顧客か?」「離反しそうな顧客を予測するにはどういった要素を組み合わせるべきか?」などの未来を可視化する“Approachable Modeling”へとステップアップする必要があると説く。
とはいえ、予測モデリングは分析専門家が高度なツールを使って数分から数日かけて行うのが一般的で、ビジネスユーザーには敷居が高いのも事実。特に予測モデリングは複雑な処理フローの構築やバッチ処理型でのモデル開発、また複数のモデルから精度の高いものを評価する必要もあり、多くの製品に対する日々のキャンペーン対象者の選定などに数秒から分単位で意志決定しなければいけないビジネスユーザーのニーズと相反するところがあるため、現場での予測型アナリティクスの利用はなかなか進まなかった。
この状況に対して、SAS Visual Statisticsは「ビジネスユーザーにとって敷居の高い予測モデリングを“より身近なものにできないか?”という設計思想で開発され、SAS Visual Analyticsと共通のGUI、直感的な操作性で予測モデリングを可能にしたのが特徴」と、SAS Japan ビジネス推進部 アナリティクスプラットフォーム推進の小林泉氏は語る。
予測モデリングをより身近にするための特徴が「インタラクティブな操作性」「ビジュアルなインターフェイス」「予測モデルの作成」といった機能。SAS Visual Analyticsのデータ探索機能により、分析したい項目(商品属性や顧客属性など)をポイント&クリックで選択するだけで最適なグラフで過去・現在を可視化した後、シームレスにSAS Visual Statisticsのデータモデリング機能に連携させ、予測モデリングが行える。
クラスタリング(記述型)、線形回帰、ロジスティック回帰、一般化線形モデル、ディシジョンツリーなどのモデリングに対応。これら予測モデルを個々のグループやセグメント別にデータを作り直すことなく自動的に複数作成する「グループ処理機能」も搭載。一度に複数の予測モデルを作成し、その精度を評価する機能も備える。
対象は、今後6カ月間に解約しそうな顧客を特定しアクションにつなげるといったマーケティング担当者、どのような要因が将来の障害につながるかを予測しダウンタイムの最小化を図るといった品質管理担当者、顧客ごとのリスク要因を考慮した貸し倒れ確率を推定するといった金融リスク担当者、および統計解析専門家・予測モデル開発専門家などを想定。
利用にあたっては、ハードウェアにTeradata/Pivotal/Oracleなどを採用するケースや、x86サーバーとHadoop環境で利用するケースなど、幅広いアーキテクチャの選択肢が用意される。SAS Visual Statisticsを利用する際には、SAS Visual Analyticsの導入が必須。価格は未公表。