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企業内システムをシンプルに――多様な機能を統合した「SAP HANA SP8」

 SAPジャパン株式会社は26日、インメモリプラットフォーム「SAP HANA」のサービスパック8(SP8)の提供を開始した。

 新版ではさまざまなアプリケーションに対応。オープンエコシステムを拡張した。Red Hat Enterprise Linux、Intel E7v2プロセッサベースのシステム、複数の他社製高可用性/ディザスタリカバリ(DR)製品への対応を図り、「powered by SAP HANA」各種ソリューションのクラウド対応も図った。また、認定パートナーネットワークを20社に拡大するなど、より広範なエコシステムを実現。より迅速にSAP HANAを導入できるようにした。

 分析機能面では、BI・データ可視化ソフト「SAP Lumira」のSAP HANAプラットフォーム上での動作をサポート。SAP Lumiraによるリアルタイムのアナリティクス機能が利用できるようになった。

 プラットフォーム機能の強化としては、将来的にSDKによる拡張を予定。SASなどのパートナー各社は、予測モデルスコアリングなどの先進的なアナリティクス機能をSAP HANA内部に組み込むことでパフォーマンスを大幅に高めつつ、分析データの準備作業において別途データソースからのデータ抽出、加工、データロードを行う必要がなくなる。

 例えば、SAP HANAを使用してSASスコアリング機能をネイティブ実行させた米国の検証では、需要反応モデルを実行した際のパフォーマンスが300%に上昇したという。SAPは、同期レプリケーションや複数のホットスタンバイのサポートなど、ネイティブの高可用性/DR機能を通じて、アップグレードと保守のダウンタイムをゼロに近づけ、SAP HANAの管理作業をシンプルにすべく、現在も機能強化を進めている。

 今後は「SAP HANA Cloud Integration」技術をスタンドアロンで利用可能に。顧客は、SAPアプリケーションと他社製アプリケーションを含む、クラウドとオンプレミスのアプリケーションを通じて、データとプロセスを統合できるという。

 このほか、SAP HANAとさまざまなデータベースやデータウェアハウスと連携可能にする「SAP Data Services」の連携を強化。SAP Data Servicesと、企業データ管理作業をシームレスに実現する「SAP Information Steward」のソフト最新版によって、ビジネスユーザーや企業のIT部門は、ビッグデータから即座に価値を引き出せるようになるという。

 SP8では、多様な機能を単一のプラットフォームで提供し、複雑な企業システムをシンプルにするという目的で開発された。SAPPHIRE NOW 2014で掲げた「Run Simple」を具現化する足がかりになると思われる。

川島 弘之