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JR東日本、「東京駅構内共通ネットワーク」をSDN/OpenFlowで構築

NECの「UNIVERGE PFシリーズ」を採用

 日本電気株式会社(以下、NEC)は24日、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)の東京駅において、SDN(Software Defined Networking)技術を活用した「駅構内共通ネットワーク」を構築していると発表した。3月の完成を予定している。なお同社によれば、鉄道業界におけるSDNを用いた最先端ネットワーク基盤の構築は、今回が世界初の例になるという。

 大規模なターミナル駅である東京駅の駅構内には、列車運行情報をはじめとした鉄道関連情報など、多数のシステムの膨大なデータがネットワーク上を行き交っているが、従来はシステムごとに専用のネットワークを構築・運用していたため、ICTを活用した新システム導入には時間がかかってしまっていたという。

 そこでJR東日本は、こうした課題を解決するため、システムごとのネットワークを共有化し、個々の乗客のニーズに応じたサービスを柔軟に提供するためのインフラとして、SDNを用いた「駅構内共通ネットワーク」の構築を決定した。

 そのためのインフラとしては、NECのOpenFlow対応ネットワーク製品群「UNIVERGE PFシリーズ」を採用。コントローラ製品の「ProgrammableFlow Controller」2台と、スイッチ製品の「ProgrammableFlow Switch」を中核として、「駅構内共通ネットワーク」を構築する。

 SDNによりネットワークを仮想化することで、1つの物理ネットワーク上に、用途に応じた論理ネットワークを作れるようになる。このため、例えば、東京駅がこれまで個々に構築していた列車運行などの情報を伝送するネットワーク、ホームや改札の状況の映像を伝送するネットワークなどを、「駅構内共通ネットワーク」へ集約できるようになるという。

 なお、さまざまなトラフィックが集約される「駅構内共通ネットワーク」の基幹部分は、大容量であるだけでなく、データトラフィックの柔軟な経路制御に対応する。これにより、さまざまなシステムに対して、最適な帯域と安定したネットワークサービスを提供できるとのこと。

 さらに「駅構内共通ネットワーク」では、ネットワーク全体を可視化して統合管理できるようになるほか、新サービスの実施や駅構内の改良工事のたびに行っていたネットワークの構築や複雑な設定変更などを、物理的なネットワークに手を加えずに集中的に行える点もメリット。今後のネットワーク構築が迅速化され、乗客のニーズに応じた新サービスの実現など、事業スピードの強化にも貢献するとした。

石井 一志