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NEC、QoEの向上を図るネットワークトラフィック制御ソリューション

 日本電気株式会社(以下、NEC)は21日、ネットワーク上の通信データ(トラフィック)を制御する通信事業者向けのソリューション「Traffic Management Solution(TMS)」を強化すると発表した。同日より強化版の販売を開始する。

 Traffic Management Solutionは、ネットワークを流れるトラフィックを制御するソリューション。今回の新版では、従来提供してきた「トラフィック削減ソリューション」に加え、「QoE最大化ソリューション」「トラフィック見える化ソリューション」「TMS to SDNソリューション」を新たに追加する。

 このうち「QoE最大化ソリューション」は、通信セッションごとに動的チューニングを行い、ユーザーの体感品質(Quality of Experience:QoE)の最大化を実現するもので、NEC独自のデータ流量制御およびネットワーク特性に合わせて、通信セッション(ユーザーフロー)ごとにシステムパラメータのチューニングを実施する。

 これにより、特に混雑エリア、混雑時間帯でのパケット詰まりやスループット低下によるQoE劣化を改善できるとのこと。NECによれば、導入前と比較して、コンテンツのダウンロード時間を約半分に短縮できるほか、ユーザーが体感する通信速度を2倍速化するという。また、中央研究所が開発した、トラフィック状況に応じて送信量を変動させる予測型ペーシング技術を活用し、混雑地点でのビデオ再生中の停止回数を、導入前と比較して90%以上減少させるとのこと。

 トラフィックの大部分を占める動画ファイルの圧縮およびキャッシュ、端末ディスプレイの表示性能に合わせた静止画圧縮、およびテキスト圧縮を組み合わせ、30%以上のトラフィック削減を実現。無線基地局を増強することなしに、混雑エリアでの同時接続数を200%以上に増加できることから、ネットワークへの設備投資を最小化しつつQoEの最大化を実現するとしている。

 2つ目の「トラフィック見える化ソリューション」は、従来のバッチ処理では1日を要していたトラフィック統計情報を、リアルタイムに可視化するもの。最適化効果やネットワーク運用状況など、事業運営に必要な情報を的確に把握できるようになるほか、トラフィック状況を見える化・分析することで、最適なシステムパラメータを設定する動的チューニング機能、QoE劣化時のみトラフィックを最適化する局所輻輳対策などを行えるので、最適化の効果を向上させられるとした。

 また、こうした見える化されたトラフィック情報をSDNと連携させ、トラフィック傾向に応じて動的にネットワーク設備設計・再構成を行う「TMS to SDNソリューション」を活用すると、効率的な設備運用を実現するとのこと。見える化した特定サービスのSLA情報をもとに、SDNとの連携によりネットワークを拡張すれば、SLAをさらに向上させて、ユーザーや特定サービス提供者の満足度向上を図るなど、より付加価値の高いソリューション提供も行えるとしている。

石井 一志