ニュース
NANDフラッシュをメモリスロットに挿せる――日本IBM、x86新基盤技術「X6」
(2014/1/17 14:49)
メモリスロットにNANDフラッシュが挿せる――日本IBMは17日、x86サーバーの新アーキテクチャとして第六世代「X6」を発表した。X6サーバーとして、ラックマウント型サーバーの4U・4ソケットシステム「IBM System x3850 X6」および8U・8ソケットシステム「IBM System X3950 X6」、ブレード型サーバー「IBM FlexSystem x880 コンピュート・ノード」の3製品を、2014年第1四半期(1~3月期)に順次発売する予定という。
メモリスロットにフラッシュメモリを挿入、高いIOPSを実現
X6アーキテクチャの最大の特長は「eXFlash メモリー・チャネル・ストレージ」という新技術。CPUとのやり取りがPCIeよりも高速なメモリスロットに、NANDフラッシュである「eXFlash DIMM」を挿入可能にするもので、従来のPCIeフラッシュよりも低遅延で、ブロック・ストレージとしての利用が可能となる。4Uの「IBM System x3850 X6」の場合、容量は最大12.8TB、パフォーマンスは最大480万IOPS。
なお、CPUと「eXFlash DIMM」の間はDDR3のプロトコルに則ってやり取りされるが、それをストレージ用に変換するチップが「eXFlash DIMM」に実装されている。また、メモリスロットでストレージを利用するため、従来メモリで想定されていない割り込み処理を最適化する独自の仕組みがファームウェアに組み込まれているとのこと。
システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 事業部長 理事の小林泰子氏によれば、「ERPなどのI/O要求の多いワークロードが混在する環境において、一貫したパフォーマンスを発揮する。また、クラウド環境では仮想マシンの集約率をより高め、特にアナリティクスやデータベースのパフォーマンスが向上するため、企業の迅速な意思決定に貢献する」とのことで、「基幹(OLTP)」と「アナリティクス」のデータ処理に最適なハイエンド製品となるようだ。
新たなモジュール設計も採用
加えて、新たなモジュール設計も採用。筐体内に「コンピュート・ブック」「I/Oブック」「ストレージ・ブック」というコンポーネントが搭載されており、コンポーネントごとの導入・追加・アップグレードが可能となる。例えば、CPUとメモリ(eXFlash DIMMも含む)を搭載する「コンピュート・ブック」を交換するだけで、将来の新しいプロセッサ・テクノロジにアップグレードできる。CPUが世代交代しても「コンピュート・ブック」が陳腐化しないよう、インテルとも仕様を相談しながら開発されたという。
「CPUが世代交代した場合、従来は筐体ごとリプレースするのが一般的だったが、X6ではコンピュート・ブックのみのリプレースで済むため、アップグレードコストを大幅に抑えられる」のがメリット。なお、X6サーバーには、まもなく発表されると見られるXeon E7最新モデル(開発コード名:IvyBridge-EX)が搭載される予定だ。
X6ファームウェアに追加されたRAS機能
もう1つの特徴が、X6ファームウェアに追加されたRAS機能。CPUソケット障害時にPCHサウスブリッジ・リンクを自動スイッチングする「CPU障害に対する自己修復アーキテクチャー」、メモリ・ページの修正可能エラー数を監視・カウントする「メモリー・エラー・アルゴリズム」、メモリ内のページをモニタし、システム停止を回避するために必要な場合に隔離する「メモリー・ページ・リタイア」といった機能が追加・拡張された。
また「IBM Upward Integration Module」の付加価値として、PFA(事前障害予知)機能とマイクロコード管理、診断機能を仮想化管理システムに統合された。仮想化されたリソースを管理するインターフェイスから単一コマンドで、仮想化環境の全システム・ソフトウェアを同時アップデートできるほか、PFAに基づくポリシー設定により、仮想化環境の停止前退避・自動移行が可能となる。
Xeon E7新モデルの発表前ということもあり、詳細なスペックや価格は公表されなかった。